2 ある物体から受ける万有引力
まず、形と質量のある物体 から、
点 に置いた質量 の小さい物体が受ける万有引力について考えてみる。
が、点 P に置かれた質量 の小さい物体である場合、
点 A はその物体から、距離の 2 乗に反比例し、それぞれの質量に比例して、
互いに引き合う力である 万有引力
を受ける (: 万有引力定数)。
なお、
は A から P に向かう
単位ベクトルであることに注意する。
複数の点
に質量 の小さい物体がある場合は、その合力
を受けることになる。
3 次元領域 の場合は、 内の各点 P での密度を
とすると、
を小片 に分解して考えれば、
その小片の質量はほぼ
なので (
)、
から の物体が受ける万有引力は、
にほぼ等しく、厳密にはその極限としての体積分 (3 重積分) で表されることになる (積分変数は
):
|
(1) |
この公式自体は、A が の内部にあっても変わらないが、
その場合は分母が 0 となりうるので、
厳密には (1) は広義積分となる。
さて、 の重心点 Q の位置ベクトルは、
の極限として得られるので、 の総質量を とすれば、
と表される。
よって、
より、もし重心 Q に質量 が集中していると考えると、
それが A におよぼす万有引力は、
となるが、
これは (1) とは明らかに異なり、
一般に両者は等しくはない。
よって、重心に質量が集中していると考えてよいのは、
特別な場合であることがわかる。
竹野茂治@新潟工科大学
2013年1月6日