しかし、実際に境界値を与えたときに、 どのようなサイクロイドがその最速降下解を与えるのか、 そしてどのように落ちるのか、まではよく認識していなかった。
そして、テレビで「まっすぐな斜面」よりも「それよりもちょっと下がった サイクロイドと呼ばれる曲線」の方が速いですよ、 などと紹介されるのを見るたびに、 通常のサイクロイドとは違う気がして、 あれはサイクロイドのどの部分なんだろうか、 またはサイクロイドを回転しているのだろうか、 などと疑問に感じていた。
今回、あらためて計算し、 さらにいくつか疑問に思うことなども含めて計算してみたので、 ここにまとめておく。
なお、この最速降下線の問題は、 数学では「変分法」という分野に属するが、 大学初年度で学ぶ微積分の本、 あるいは工学部などで標準的に学ぶ応用数学の本などには 書かれていないことが多い (実は数学科でも学ばなかった)。
そして逆にそのためか、 Web 上には「最速降下線」の問題とその解を紹介する記事はかなりある (例えば [1], [2], [4] 等)。 しかし、そのほとんどが私が疑問に思う箇所の手前、 すなわち「解がサイクロイドになる」というところまでしか 書いておらず、本稿ではその先の話も考える。
竹野茂治@新潟工科大学