4 元の曲線に対する設定

まず、ある曲線から外に $a$ という一定間隔をあけた曲線を構成するため、 元の曲線に対する設定を行う。

$(x,y)$ 平面上の元の閉曲線を $C_1$ とし、 その上の点 $\mathrm{P}=\mathrm{P}(t)$ が以下のように表されているとする。

  $\displaystyle
\overrightarrow{\mathrm{OP(t)}}=(x(t),y(t))=\mbox{\boldmath$r$}(t) \hspace{1zw}(c\leq t\leq d),
\hspace{1zw}\mathrm{P}(c)=\mathrm{P}(d)$ (3)
ここで、$x(t)$, $y(t)$ は十分滑らかで、
  $\displaystyle
\mbox{\boldmath$r$}'(t)=(x'(t),y'(t))\neq 0\hspace{1zw}(c\leq t\leq d)$ (4)
でかつ $\mbox{\boldmath$r$}'(c)=\mbox{\boldmath$r$}'(d)$ (始点と終点も滑らかにつながる) とする。 また、$C_1$ は交差のない閉曲線で、その内部に原点を含み、 $\mathrm{P}(t)$$t$ の増加にともない反時計回り、 すなわち $C_1$ の内部を左に見ながら進むとする。
図 7: $C_1$
\begin{figure}\begin{center}
\psfrag{P(t)}{$\mathrm{P}(t)$}
\psfrag{P(c)=P(...
...ludegraphics[width=0.3\textheight]{crv2-c1.eps}%
\par
\end{center}\end{figure}
さらに、その曲率
  $\displaystyle
\mu = \mu(t) = \frac{x'(t)y''(t)-x''(t)y'(t)}%
{\left\{(x'(t))^2+(y'(t))^2\right\}^{3/2}}$ (5)
は、正、すなわち $t$ の増加に伴ない左方向に曲るか、 または負であってもその曲率半径 $-1/\mu$$a$ より大、すなわち、
  $\displaystyle
1+a\mu(t) > 0\hspace{1zw}(c\leq t\leq d)$ (6)
が成り立つとする。 この条件により、 $C_1$ の外側に $C_1$ 上の点 P で接するような半径 $a$ の 円を書いても、その円は $C_1$ と P 以外では交わることはなく、 また $C_1$ の点から $a$ の長さの法線を $C_1$ の外側に伸ばしても、 それが他の法線とぶつかることはないので、 $C_1$ から $a$ だけ離れた曲線を交差のない状態で 作ることができるようになる。

なお、$x(t)$, $y(t)$ が十分滑らかと仮定したが、 それにより $C_1$ として正方形や多角形のような角のある閉曲線は 許されないことになるが、その角を小さく丸めることで、 それらに十分近いものは含まれる。

竹野茂治@新潟工科大学
2022-05-18