私の専門は波に関連する数学的な方程式であり、 様々な波動現象に関心があります。 音と光は身の回りの典型的な波動現象の例なのですが、 実は私にはその物理的な側面に関してはわからないことだらけで、 最近それらをパソコンを利用しながら実験したりもしています。
以前フーリエ解析の講義で音に関する講義を行ない、 ついでに多少それに関するデータなどを作り、 「情報数学 II」 の WWW ページで公開しました。
光や色に関しても不思議に思うことなどがたくさんあり、 何か実験等を行なってデータみたいなものができたら このページで紹介したいと思っています。
なお、私は決して光や色、音に関する専門家ではなく、 嘘や間違いを書いているかも知れません。 何か気がついたこと、意見等がありましたらメールを shige@iee.niit.ac.jp まで ください。
(03/03 2003)HTML などでは、背景色などを
#RRGGBBの形式で指定します。 コンピュータの画面の色はこのように赤、緑、青の光の三原色で表現されていて、 それらの明るさを変えて混ぜることで多くの色を出していることになります。 では、実際に明るさを変えたそれら三原色を混ぜて、色んな色を作れるのでしょうか。
(RR,GG,BB は、それぞれ赤、緑、青の、00~FF までの 16 進数の輝度値)
実験として行なう場合「混ぜる」という部分が面倒なように思いますが、 これは例えば
などでできるようですが、例えば三原色を細かく配置してもできそうに思います。
昔カラーテレビが来た頃 (まだ僕が小さい頃は白黒テレビでした)、 テレビに近寄って見ると、細かく赤、緑、青の光が網目上に並んでいたのを 見たことを覚えています。 それと同じように三原色を細かく配置したらどうなるか、 ということをここでやってみたいと思います。 以前、音を細かくぶった切って変な風に配置するとどう聞こえるか、 という実験をコンピュータで行なったことがあります ( 「コワルスキーの実験」 参照) が、まあそれの光版、のようなものでしょうか。
基にするデータは以下のように、赤、緑、青をそれぞれ輝度が 7F,FF,FF (10 進数で 127,255,255) である正方形を順番に並べたものとします。
このデータは、それぞれの正方形の 1 辺は 20 ドットですが、 これを小さくして行くと、最終的に "#7FFFFF" の色になるか、 見てみましょう。
以下のデータは、1 辺の長さを 1 ドットずつ短くした絵をアニメーションに したものです。 なお、見やすいように、1 辺の長さが短くなるにしたがって 面の入れ替わりを遅くしてあります。
最後の、急に色が暗くなっているのが各正方形が 1 ドットの場合ですが、 これだけ色が急に暗くなっているので、何か問題 (バグ) があるのかも知れません 注 2)。
以下の図は 1 辺が 3 ドット、2 ドットの場合の図ですが、 遠目に見ればほぼ全体が 1 色 (やや明るめの青緑色) の絵と見ることが できそうです。
よってこの方法でも色を混ぜて見ることはできる、ということは言えそうです。
一方で、この図と、下の (R,G,B)=(7F,FF,FF) の色の図 ("#7FFFFF") を比較すると必ずも等しくは見えません。
こちらは、三つの色を重ねたようなもので、 光は重ねるとどんどん明るくなりますから、 こちらの方が明るくても確かに変ではなさそうです。 では、重ねておいて、輝度を全体に 1/3 にしたものはどうか、 というと今度は暗すぎるようです。 全体を 1/3 にすると
7F/3 (16 進) = 127/3 (10 進) = 42 (10 進) = 2A (16 進)なので、(R,G,B)=(2A,55,55) ("#2A5555") となりますが それはこんな感じです。
FF/3 (16 進) = 255/3 (10 進) = 85 (10 進) = 55 (16 進)
色が合うように輝度を適当に変化させてみると、 1/3 ではなく、約 0.6 倍したものが似た感じの色に見えます。
0.6 というと 2/3 (=0.666...) に近く、2/3 なら何か意味がありそうなので、 0.666667 倍というデータも作ってみたのですが、 これよりもどちらかというと 0.6 の方が近そうに見えませんか。
ということで、どうやらこれは 2/3 に意味があるのではなく、 コンピュータの輝度値、あるいは光の重ね合わせによる輝度値の変化、 のどちらか (または両方) が 線形ではなく非線形の変化をしているんだろう、と予想されます。 ここからもわかりますが、なかなか色の問題も結構難しそうですね。
(03/03 2003)
注: 1
以前ここに置いていた画像は、スクリーンに表示されたものの スナップショットを使っていたのですが、 直接指定した色を持つ画像ファイルを生成したものに変更しました。
(03/15 2003)
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追加情報ですが、「1 辺が 1 ドットになると急に色が暗くなって見える」 と書いたのは、どうやらディスプレイやグラッフィック表示性能などの 環境によって違って見えるようです。 私が普段利用している環境と同じように急に暗くなって見えることもあり、 また、1 ドットへもちゃんと連続的に変化するように見える環境もあるようです (うちにも一つありました)。 その場合でも、うちではなんとなく 0.6 倍したものに似た色に見えましたが、 もしかしたらそうではないように見える環境もあるかも知れません。
(03/12 2003)
自然界の中には青系の色、水色などが多く見られますが、 いずれもそれなりに不思議です。
空の青は、太陽の光が大気に散乱 (レイリー散乱と呼ばれるそうです) されてできる現象で、 もし散乱がなければ、夜空の月のように太陽のあるところだけが明るく、 他は真っ黒になるはずですが、 青い色が大気によって散乱されるために空全体が一面に青く見える、 という現象のようです。
海の青は、我々が普段見る海の場合は 2 種類の青を見ているようです。 我々が普段見る海は、飛行機や船から見る場合と違い、 それほど高い位置から見ることは少なく、また深い海を見ることも少ないので、 その場合は青空が反射した青もかなり含まれています。 実際、曇りの日に見る海は普段より青い色が抜けて見えます。 もう一種類は、深い海に含まれる青で、 それは海水が赤い光をわずかながら吸収するからのようです。 それで浅い海は緑がかって、深い海は青く見えるようです。
遠くに見える景色 (山など) は、遠ければ遠いほど水色っぽく見えます。 海岸などで遠くの山が順に見えるところに立つとわかりますが、 近くの山はすべての色が見えるのですが、 徐々に遠くに行くにつれて全体に青みがかってきて、 かなり遠くになると水色一色になってしまいます。 また遠ければ遠いほど水色が薄くなっていきます。 これも、曇りの日にはむしろ灰色っぽくなっていますので、 これはやはり空の青と同じで、 遠くの景色から届く光に散乱光が多く含まれるからだと考えられます (違っているかもしれません)。
私は雪国育ちなのですが、実はつい数年前、 もう一つ自然界の水色を見つけました (もっと早く見つけてもよさそうなもんですが)。 それは雪の影にできる淡い水色です。 今日もそれが見られましたので、写真に取ってみました。
この写真は曇りの日に取ったもので、よって空の青とは関係ないと思います。 また、雪自体が水色というのではなく、 雪の影、特に雪の穴の奥の方が濃い水色になっています。 これも、どんな雪の日でも起こるわけではないようで、 雪が降った次の日とかなんらかの条件がととのったときに見られるようです。 ここからして、雪が積ってその固まりの状態によっては 赤い色を吸収しやすくなり、 それでその雪を通り抜けた光が水色になっているのではないかと考えられるのですが、 よくはわかりません。 ご存知の方は教えてください。
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