8 最後に

今回、地球上の観測点を固定して、 逆に太陽が動いていると見るとどう見えるのだろう、 ということを考え、それをベクトルを使って表現してみたが、 太陽の軌道面の傾きや、白夜、北回帰線などの説明は、 ベクトルなどを使わずとも 図を用いてもっと易しく中学校などでも教えられているだろう (多分)。 そういう意味では、本稿はあまり意味がないのであるが、 ベクトル解析の応用例としての意味くらいはあるかなと考えている。

個人的には、太陽の軌道に関する私のあいまいな知識を式の上で確認できたし、 また北回帰線の意味などについても知ることができたのでよかった。 素数のふるい法でも知られるギリシャ時代の学者エラトステネス (BC.276-BC.194) が、 ある場所では真夏の真昼に真上から太陽が井戸の底を照らす、 という話を聞いて、 そのある場所からアレキサンドリアまでの距離を用いて地球の大きさを計った、 という有名な話があるが、 今までは私はその「ある場所」というのは ぼんやりと「赤道」上のことなのかと思っていたが、 それは今回の確認によって赤道ではなく、 北回帰線以南であればよいことを知ることもできた2

竹野茂治@新潟工科大学
2008年3月24日