2 仮定

簡単のため、太陽の大きさは考えず一点として考える、 言いかえれば太陽の中心を見ると考え、 それが 3 次元空間の原点にあるとし、 地球はその太陽の回りを円運動 (公転) しているとする。 なお、本当は地球は太陽の周りを楕円を描いて回っているのであるが、 今回はその軌道の形は直接は関係なく、 実際には地球と太陽の距離しか考えないので、 円運動をしているとみてもそれほど問題ではない。

地球は、完全な球であるとし (これも本当は楕円体であるが)、 xy 平面上を公転運動しているとする。 また、地球の地軸 (自転軸) は z 軸とはずれがあるが、 それは一定の方向を向いているとする (図 1)。 理科年表 [1] によれば、 このずれの角度は $ \alpha$ = 23.44o 位のようである。

図 1: 地軸の向き
\includegraphics[height=0.2\textheight]{chijiku1.eps}

地球の中心を Q とし、OQ= $ \rho$ , 地球の半径を r とする。 Q は xy 平面上にあるから

$\displaystyle \overrightarrow{\mbox{\rm OQ}}$ = ($\displaystyle \rho$cos$\displaystyle \beta$,$\displaystyle \rho$sin$\displaystyle \beta$, 0)

のように書ける。また、地軸方向の単位ベクトル (上向き) を

$\displaystyle \mbox{\boldmath$\omega$}$ = (0, sin$\displaystyle \alpha$, cos$\displaystyle \alpha$)

とする。これは仮定により、$ \beta$ によらず一定なベクトルである。

地球上の緯度経度は、公転面ではなく、傾いた地軸を元に作られている。 観測点 P の緯度は $ \theta$ ( - $ \pi$/2 $ \leq$ $ \theta$ $ \leq$ $ \pi$/2 ) であるとし、 北緯を正、南緯を負と考えることにする。 この $ \theta$ は、地球の中心から P を見た場合の、 地球赤道面に対する仰角に等しい (図 2)。

図 2: 緯度
\includegraphics[height=0.2\textheight]{theta1.eps}

公転によって Q の位置、すなわち $ \beta$ が変化するが、 その $ \beta$ を固定した上で、 地球の自転による太陽の見た目の軌道を求め、 それが $ \beta$ によってどのように変化するかを考えていくことにする。

太陽の見える位置は P から見れば $ \overrightarrow{\mbox{\rm PO}}$ となるが、 それを地球表面の観測者の座標系で考える必要があるので、 観測点でのあらたな座標系を導入する必要もある。

竹野茂治@新潟工科大学
2008年3月24日