教科書 p.96 例 3.6 に が平面グラフでないことの証明が載っているが、
一箇所説明不足の点がある (
)。その話を含めて
と
が平面グラフでないことの証明を行う。
以下、,
,
等の記号の意味については教科書参照のこと。
平面グラフが単純グラフであるとき、 ならば
証明
交差する辺のない単純グラフでは、外部領域も含め全ての領域が 3 本以上の辺に囲まれている。
そして、各辺は 2 つの領域を分けているから、各領域を囲む辺を
全て数え上げると各辺を 2 度数えることになるので
三角形が含まれない単純平面グラフでは、 に対して
証明
補題 1 の証明の論法により明らか (全ての領域が 4 本以上の 辺に囲まれる)。
例えば、平面 2 部グラフには三角形はない (奇数角形はない) ので、この 不等式が成り立つ。
完全 2 部グラフ は平面グラフではない。
証明
は
,
,
なので、もし平面グラフの形に
書けたとすると、オイラーの公式により
完全グラフ は平面グラフではない。
証明
上の証明で ,
とし、補題 1 を使えば
全く同様に証明できる。
,
,
は明らかに平面グラフなので、
,
のうち平面グラフは
,
,
(
) となる。
そして、逆に、一般のグラフが平面グラフである必要十分条件は、
や
を本質的に部分グラフとして含まないこと、
であることがクラトウスキー (C.Kuratowski 1896-1980 ポーランド) によって
示されている。
なお、上のような不等式を用いない図形的な考察による証明もある。
そして、その証明を見ると、球面上でも や
は
交差せずに書くことは出来ないが、トーラス上では交差せずに書ける
ことが分かる。