8 最後に

本稿では、工学ではあまり取り上げられることのない全微分可能性について 解説し、それに関するいくつかの事項や反例、応用などを示し。 最後に複素関数の複素微分可能性と全微分可能性との関係について紹介した。

実は、本稿を書くきっかけとなったのは、 むしろ最後の複素微分可能性との関係であり、 複素関数論のノートを作っていて、 正則性に関する条件をいくつかの本で調べていたところ、 全微分可能性との同値性を知ったことから、 一度どこかでまとめておこうと思って書き始めたものである。

多分、私の工学部の講義で本稿の内容を使うことはないと思うが、 「全微分可能性」についてはどの教科書でも それほど詳しく解説されてはいないだろうと思う。 その意味では、本稿も誰かの役に立つ可能性はあるかもしれない。

竹野茂治@新潟工科大学
2023-06-19