まず、その前に偏微分の方から説明する。偏微分は、一つの変数以外を 定数と見て、1 変数関数のように考えて微分することを指す。 例えば、2 変数関数 に対しては、
の近くの に対して、 すなわちある正数 に対する , となる に対して、
となるような定数 , , 関数 があり、
となるとき、「 は で全微分可能」という。この (16) で とすると、
さらに、 に対して , ( ) とすると (16) は
に対する () がそのひとつであり、 これは (0,0) で水平な接平面 を持つ、 すなわちすべての方向に傾きが 0 であるが、 全微分可能ではないことが容易にわかる。
なお、数学辞典 [1] に書かれている 「全微分可能性」は、一般の 変数関数に対する形で書いてあるのだが、 それを について書けば以下のようになる:
とするとき、 が のときに
となる , が存在するとき、 は で全微分可能ただ、この書き方だと、 のところが問題で、 「 のときに」という言い方だと、 「各 に対して」とも見えなくもなく、 正しく 2 変数 (元の数学辞典では多変数) の極限として 0 になる、 あるいは に関して一様に 0 になる、 のように書くべきだろうと思う。 残念ながら新版の [2] でもそこは改善されていない。
竹野茂治@新潟工科大学