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1 はじめに

[1] では、有理関数の積分の難点である

\begin{displaymath}
\frac{\mbox{($2m-1$) 次の整式}}{(x^2+1)^m}
\end{displaymath}

の積分を、分子が奇数次と偶数次の項に分離し、その偶数次の方に対しては 部分積分を使って計算する方法について、 また、[2] では、それを未定係数法で計算する方法について 考察した。

複素数を使えば、 $(x^2+1)=(x+i)(x-i)$ のように因数分解されるから、 容易に想像されるように、これには、複素数を用いて、

\begin{displaymath}
\frac{\mbox{($2m-1$) 次の整式}}{(x^2+1)^m}
=
\frac{\mbox{($m...
... 次の整式}}{(x+i)^m}
+
\frac{\mbox{($m-1$) 次の整式}}{(x-i)^m}
\end{displaymath}

のように部分分数分解をしてから計算する方法もある。 しかし、実際に計算してみればわかるが、それはそれほど簡単ではない。 共役複素数を利用してその対称性を使えば、多少楽にはできるのではあるが、 それでも部分積分等の方法に代わる、というほどの方法ではない。

ここでは、その対称性等の性質を具体例を含めてまとめておく。


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竹野茂治@新潟工科大学
2006年6月2日