を実数係数の範囲でできるだけ因数分解して
の形 (1 次式と、判別式が負の 2 次式の積) に書くと書かれている ([1], §24 p114)。
これは代数学の基本定理と呼ばれる次の定理から導かれる。
複素数係数の 次式は、 複素数の範囲で 個の 1 次式の積に因数分解可能である。
この定理の証明は容易ではなく、さすがにここで行うことはできないが、 この定理と次の事実を用いれば、上に述べた教科書の記述は説明できる。
実数係数の整式が ( は実数、, は虚数単位) という因子を持てば、 その整式は必ず という因子も持つ。
複素数 に対して、 を の 共役複素数 という。
命題 8 の証明
まず、複素数の共役に関して、次を示す。
今、整式
実数係数の整式が () という因子を持てば、 その整式は必ず という因子も持つ。
証明
実数係数の整式 が
という因子を持つ場合、
命題 8 により少なくとも という因子を持ち、
よって、 は
この命題 8 と 系 9 により、
という因子に対しては
という因子があり、それをペアで考えれば、