4 積の微分による証明

これは、例えば [2] にも書かれている方法であり、 先に積の微分が証明されているとしてそれを用いる方法である。

$\displaystyle h(x)=\frac{f(x)}{g(x)}$ とすると $f(x)=h(x)g(x)$ となるので、 積の微分より、

$\displaystyle f'
= (hg)'
= h'g+hg'
= h'g+\frac{fg'}{g}
$

となるから、

$\displaystyle h'g
= f'-\,\frac{fg'}{g}
=\frac{f'g-fg'}{g},
\hspace{1zw}
h'
=\frac{f'g-fg'}{g^2}
$

を得る、という方法である。 これは極限を必要とせず、比較的容易に導き出せる方法であると思う。 逆にこれを、商の微分の検算に使うことも可能である。 例えば、
  $\displaystyle
y = \frac{3x^2-5}{2x-7}$ (1)
の微分を商の微分で
  $\displaystyle
y'
= \frac{6x(2x-7)-(3x^2-5)2}{(2x-7)^2}
= \frac{6x^2-42x+10}{(2x-7)^2}$ (2)
と求めた後で、これが合っているかを確認するのに、(1) から

$\displaystyle 3x^2-5 = (2x-7)y
$

として、この両辺を積の微分で

$\displaystyle 6x=2y+(2x-7)y'
$

とした後で、この右辺に (1), (2) を代入して、確かに $6x$ になるかをみる、 という方法である。実際、

$\displaystyle 2y+(2x-7)y'
= \frac{6x^2-10}{2x-7} + \frac{6x^2-42x+10}{2x-7}
= \frac{12x^2-42x}{2x-7}
= 6x
$

となるので、 この場合は (2) が正しいことがわかる。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-10-21