1 はじめに

部分積分の公式というと、大学向け、高校向けのどの教科書も、 次の形で書かれているものが多いと思う。

公式 1:

\begin{displaymath}
\int u(x)v'(x)\,dx = u(x)v(x) - \int u'(x)v(x)\,dx\end{displaymath}

もちろん、$u(x)$, $v(x)$ を逆にした形のものはあるものの、 普通この形以外のものを見ることはほとんどないし、 私自身この形で学び、この形で使ってきた。

しかし、現在基礎数理で使用している教科書 [1] は、 部分積分の公式を次の形で書いている。

公式 2:

\begin{displaymath}
\int f(x)g(x)\,dx = f(x)G(x)-\int f'(x)G(x)\,dx
\hspace{1zw}(G'(x)=g(x))\end{displaymath}

これは、公式 1$u(x)$$f(x)$$v(x)$$G(x)$ と見た形をしている。

一般的には公式 1 が使われることや、 高校の教科書でもそれで書いていることから、 以前は講義では教科書とは別に公式 1 の形で教えていたが、 数年前から 公式 1、公式 2 の両方を紹介し、

という形で教えている。

本稿では、この両者の長所、短所を比較し、それらについて考察し、 その他の方法についても少し考えてみたいと思う。

竹野茂治@新潟工科大学
2010年3月16日