物体がその上を滑る斜面のグラフを と考え、 物体は右側に向かって移動すると考える。
重力は下向きに考えるので、曲線には多少の起伏はあってもよいが、 おおむね右に下がっているものと考える。物体の質量を 、 物体の位置ベクトルを ( は時刻) とし、 空気抵抗や物体と斜面との摩擦は考えないとすれば、 この物体に対する運動方程式は次の式で与えられる。
(1)
は 上を動くので、
(2)
この曲線上の点 での接線方向のベクトルは であり、これに垂直な上向きのベクトルは となるので、 は と同じ向きである。 よって、垂直抗力の大きさを とすれば、
(3)
(2) を用いると、 を で表すことができる。
(2) に合成関数の微分、積の微分を適用すれば、
(8)
(9)
速度ベクトルを と書くことにすれば、 (6) より
(10)
さて、物体が斜面から離れる瞬間は垂直抗力 が 0 となるときであり、 逆に のときは物体は斜面を押していて その反作用として が正の値になっていて、斜面からは離れないことになる。 つまり斜面から物体が離れない条件は、(9) より
(11)
(12)
これは、、すなわち斜面が下に凸なら無条件であり、 逆に離れるには 、すなわち斜面が上に凸で、 かつ がある程度大きくないと起こらない。 は だけでは決まらず、 での初期値によって変化しうるので、 (12) を だけの式として表すことはできない1。
なお、 は (4) から も導くが、 これは が等速に変化する状態であることを意味していて、 物体が斜面から離れれば物体には下向きの重力しかかからず、 はそれを示していて、 斜面から離れるための斜面の形状等に関する条件には寄与しない。 よって (12) が求める条件 (離れないための条件) となる。
竹野茂治@新潟工科大学