5 半径 1 の球の体積の計算

この節では、$\alpha_n$ ($=$ 半径 1 の球の体積) を計算する。 これまで、$\alpha_n$$n\geq 2$ で考えていたが、 (8) が $n=2$, $n=1$ でも成り立つように、 $\alpha_1$, $\alpha_0$
\begin{displaymath}
\alpha_2=2\alpha_1 I_2,\hspace{1zw}\alpha_1=2\alpha_0 I_1
\end{displaymath}

を満たすように決めることにすると、
\begin{eqnarray*}\alpha_1 &=& \frac{\alpha_2}{2I_2}=\frac{\pi}{2\times\pi/4}=2,\\
\alpha_0 &=& \frac{\alpha_1}{2I_1}=\frac{2}{2\times 1}=1\end{eqnarray*}


となり、このようにすれば (8) は $n\geq 1$ に対して成り立つことになる。

よって、(8) から $\alpha_n$ を帰納的に求めてみると、

\begin{eqnarray*}\alpha_n
&=&
2I_n\alpha_{n-1}
=
(2I_n)(2I_{n-1})\alpha_{n-2}
= \cdots
\\ &=&
(2I_n)(2I_{n-1})\cdots(2I_1)\alpha_0\end{eqnarray*}


となるので、結局
\begin{displaymath}
\alpha_n = 2^nI_nI_{n-1}\cdots I_1\end{displaymath} (11)

と書けることになる。 ここで (10) より容易に、
\begin{displaymath}
I_{2n}I_{2n+1}=\frac{1}{2n+1}\times\frac{\pi}{2},\hspace{1zw}
I_{2n-1}I_{2n}=\frac{1}{2n}\times\frac{\pi}{2}
\end{displaymath}

であることがわかり、よっていずれにしても
\begin{displaymath}
I_nI_{n-1}=\frac{1}{n}\times\frac{\pi}{2}\end{displaymath} (12)

が成り立つ。 これにより、(11) の右辺を 2 つずつまとめて考えればよいので、 $n$ が偶数の場合と奇数の場合に分けて考えると、以下のようになる。
$\displaystyle \alpha_{2m}$ $\textstyle =$ $\displaystyle %2^{2m}I_{2m}I_{2m-1}\cdots I_1
2^{2m}(I_{2m}I_{2m-1})(I_{2m-2}I_{2m-3})\cdots (I_2I_1)$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle 2^{2m}
\left(\frac{1}{2m}\,\frac{\pi}{2}\right)
\left(\frac{1}{2m-2}\,\frac{\pi}{2}\right)
\cdots
\left(\frac{1}{2}\,\frac{\pi}{2}\right)$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{2^m\pi^m}{2\cdot 4\cdot 6\cdots (2m)}$ (13)
$\displaystyle \alpha_{2m+1}$ $\textstyle =$ $\displaystyle %2^{2m+1}I_{2m+1}I_{2m}\cdots I_1
2^{2m+1}(I_{2m+1}I_{2m})(I_{2m-1}I_{2m-2})\cdots (I_3I_2)I_1$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle 2^{2m+1}
\left(\frac{1}{2m+1}\,\frac{\pi}{2}\right)
\left(\frac{1...
...}\,\frac{\pi}{2}\right)
\cdots
\left(\frac{1}{3}\,\frac{\pi}{2}\right)\cdot I_1$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{2^{m+1}\pi^m}{1\cdot 3\cdot 5\cdots (2m+1)}$ (14)

そしてこの $\alpha_n$ に対し、 $V_n(r)=\alpha_nr^n$ となることになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2007年8月6日