7 半角の公式を利用する方法

$0\leq H\leq\tan(\pi/4)$ $0\leq H\leq\tan(\pi/8)$ に帰着させるのに、 5 節では $\tan(\pi/4-\theta)$ の加法定理を用いて $\theta=\pi/4-\theta_3$ を考えたが、 その代わりに半角の公式 (9) を利用するという方法も考えられる。

つまり、 $\theta_5=\theta/2$ に対して、

\begin{displaymath}
H_5
=\tan\theta_5
=\tan\frac{\theta}{2}
=\frac{H}{\sqrt{H^2+1}+1}
\end{displaymath}

であるから、 $H>\tan(\pi/8)=\sqrt{2}-1$ ($\theta>\pi/8$) のときは $H$ からこの式により $H_5$ を求め、
\begin{displaymath}
\theta_5=\arctan H_5
\end{displaymath}

として $\theta=2\theta_5$ と求める方法である。 この場合も $H_5\leq\tan(\pi/8)$ となってくれるので 5 節と同等の誤差が期待できるのであるが、 しかしこの $H_5$ の計算には $H^2+1$ の平方根が含まれてしまう。 元の問題に戻れば、そのマイコンに任意の正の実数の平方根を計算する機能が そなわっていない場合には、この方法が使えないことになる。 つまり、半角の公式を用いる方法はそのような目的には ふさわしくない可能性がある。

竹野茂治@新潟工科大学
2009年1月18日