2 アークタンジェントの展開式

まず、アークタンジェントのマクローリン展開式を紹介する。 なお、タンジェントの逆関数であるアークタンジェントは、 $\arctan x$$\tan^{-1} x$ と書かれることもあるが、 本稿では統一して $\arctan x$ と書くことにする。

またマクローリン展開式も、 定義通りの微分による計算では規則性を見出すのが難しいので、 ここでは別な方法で求めることにする。

無限等比数列の和の公式

\begin{displaymath}
\frac{1}{1-r}
=1+r+r^2+r^3+\cdots \hspace{1zw}(\vert r\vert<1)
\end{displaymath}

$r=-t^2$ ($\vert t\vert<1$) とすると
\begin{displaymath}
\frac{1}{1+t^2}
=1-t^2+t^4-t^6+\cdots \hspace{1zw}(\vert t\vert<1)
\end{displaymath}

が成り立つ。これを、$\vert x\vert<1$ である $x$ に対し $0$ から $x$ まで積分すると、
\begin{displaymath}
\int_0^x\frac{dt}{1+t^2}
=\arctan x
=x-\frac{x^3}{3}+\frac{x^5}{5}-\frac{x^7}{7}+\cdots \hspace{1zw}(\vert x\vert<1)\end{displaymath} (1)

となる。これが $\arctan x$ のマクローリン展開である。

竹野茂治@新潟工科大学
2009年1月18日