1 はじめに
大学教養科目の線形代数では、行列、ベクトル、行列式などの一般論、
特に 次元空間に関する一般論を教えるが、
逆に物理や工学などではより重要な 3 次元の 1 次変換の各論、
例えば回転変換などは普通は教えず、
「直交行列で行列式が 1 のものは回転を意味する」という話も、
それに触れることがあるかないか位だろうと思う。
私自身もちゃんと把握はしていなかったので、
あらためて直交行列と回転変換について少し考察してみたことを
ここにまとめておく。
なお、本稿では、ベクトルはすべて列ベクトル
(
1)
のカンマ区切りの丸かっこの形で書くこととし、
横に成分を書くときは、行列の転置の記号を用いて
(
2)
の、行列とベクトルを混在したような記号で書くことにする。
また、行列も基本的に の行列のみを扱うが、
行列を列ベクトルを使って
のように書く場合、
この形だと列ベクトル同士の境が見分けにくいので、
本稿では列ベクトル表記での行列の表現では、
のようにカンマ区切りで書くことにする。
竹野茂治@新潟工科大学
2021-09-01