1 はじめに

本稿では、要素が実数、または複素数である $n$ 次正方行列 $A$ に 対する $e^A$、すなわち $e$ の行列乗に相当するものを紹介する。

行列乗は、微分方程式への応用もあり、 厚めの線形代数の本には書いてある場合もあるが、 どの本にも書いてあるという内容ではないので、本稿で取り上げる。

また、$e^A$ の具体的な計算には、通常ジョルダン標準形と呼ばれる行列変形を 用いるが、これも線形代数の入門的な本では扱っていないことも多いので、 これについても簡単に紹介することにする。

竹野茂治@新潟工科大学
2022-05-02