2 逆行列
行列 の逆行列 は、 となるものを言うが、
実際には さえ成り立てば、 となる。
今、3 次の正方行列 を列ベクトルに、 を行ベクトルに分けて、
(
,
はいずれも列ベクトル) として積 を考えると、
となることがわかる。
ここで、
はベクトル
と
の内積で、行列としての積
は明らかに、
ベクトルとしての内積
に等しい。
もし、この が対角行列になるとすると、
でなければならないが、これは、
を意味する。
よって、例えば
は
,
に垂直であるから、
その外積
に平行であることになり、同様にして、
が成り立つことになる。
そして、今
|
(3) |
とすると、
ベクトル
,
,
の三重積
が、
,
,
の作る行列の行列式に等しい (教科書 [1] p58 (14.6)) という性質:
および定理 15.4 により、
となるので、この (3) による 、すなわち
|
(4) |
に対して、
が成り立つことになる。よって (2) により、
この は の余因子行列 に等しいことがわかる。
結局、3 次の逆行列を求める場合、
の列ベクトルの外積からなる行列の転置行列 (4) を計算すれば
これが余因子行列となるので、
これを で割れば の逆行列が求まることがわかったことになる。
竹野茂治@新潟工科大学
2010年7月9日