next up previous
Next: 4 一方から他方を導く方法 Up: 3 別に加法定理を導く方法 Previous: 3.1 おおまかな式から作る方法 (PDF ��������: sinadd.pdf)

3.2 複素数を利用する方法

現在高校の数学 B で履修する複素数では、複素平面や極形式、 ド$\cdot$モアブルの公式などもやるようなので、

\begin{displaymath}
\cos\theta + i\sin\theta
\end{displaymath}

という形の式は多分馴染みが深いと思われる。 この形の式は、ド$\cdot$モアブルの公式からも見られるように、 積が角の和に変わる、という性質を持っている。
\begin{displaymath}
(\cos x+i\sin x)(\cos y+i\sin y)=\cos(x+y)+i\sin(x+y)
\end{displaymath} (6)

よってこの式を覚えておけば、この式を展開して $i^2=-1$ を使うと

\begin{displaymath}
\mbox{左辺} = \cos x\cos y-\sin x\sin y + i(\cos x\sin y + \sin x\cos y)
\end{displaymath}

となるので、両辺の実数部分と虚数部分を比較すれば加法定理が得られる。

なお、この式 (6) は、大学 (の理系の学部の 1,2 年生) でオイラーの公式

\begin{displaymath}
e^{ix}=\cos x+i\sin x
\end{displaymath}

として学ぶもので、値の積が変数の和になることは指数法則として見ることができる。

この公式には他にも多くの応用があり、例えば三角関数の微分の公式 $(\sin x)'=\cos x$, $(\cos x)'=-\sin x$ を覚えるのに

\begin{displaymath}
(\cos x+i\sin x)'=i(\cos x+i\sin x) \hspace{1zw}(=-\sin x+i\cos x)
\end{displaymath}

つまり、微分が $i$ 倍になる ( $(e^{ix})'=ie^{ix}$)、という性質として 覚えることができる。


next up previous
Next: 4 一方から他方を導く方法 Up: 3 別に加法定理を導く方法 Previous: 3.1 おおまかな式から作る方法
Shigeharu TAKENO
2003年 3月 4日