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6 最後に

「加法定理を正確に覚えること」にどれくらい意味があるかについては、 実は私にはよくわからない。

例えば、そこからさらに便利な多くの公式 (三倍角、和$\rightarrow$積、 積$\rightarrow$和の公式など) を導くのに使う、ということもあるだろうし、 三角関数の導関数を導くのに必要、という意味もあるだろうが、 それらの場合は、必要ならば公式を本で確認すればいいだけのことで、 正確に覚える、ということの必要性は薄いと思う。

他にも、三角関数には加法定理という便利なものが成り立つのだ (対数のように加法定理などない関数も多い) とか、 $\sin(x+y)=\sin x+\sin y$ ではない (線形ではない) ということを認識する、という意味もあるのだろうが、 この場合は加法定理というものを理解する、ということが大事で、 形を正確に覚える必要性とはあまり関係がない。

もちろん、実際の測量や工学の現場で必要となる、ということもあるかもしれないが、 そのような人は多分かなり少ないだろうし、数式の計算でなくて 具体的な数字の計算であれば、関数電卓で済んでしまうことが多いだろう。

私が高校で公式を覚えたときも、使い慣れていたものは覚えていたが、 長いもの、覚えにくいものは、 むしろ思い出し方、導き方などを頭に入れておいて そこから思い出していたことが多かったように思う。 また、上に書いたことからも多少わかると思うが、 機械的に覚えるよりもその方が公式の色々な意味も見えてくるし、 計算を確認する癖をつけることにもなるのでは、と思う。

以上、いくつかの覚え方、導き方を紹介したが、 結局は自分に合った覚え方を自分で見つける、 または自分で作るのが、多分うまく覚える早道なんだろうと思う。


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Shigeharu TAKENO
2003年 3月 4日