6 最後に

指数法則は、実は実数にまで拡張されている。 よって本当は実数乗の話まですると良いのだろうが、 それには極限を必要とし、また一段面倒な話が追加されるので、 本稿では省略した。 ただ、実数乗がちゃんと極限で定義され、 その指数関数が連続であることが示されれば、 実数乗に対して指数法則が成り立つことを示すのは、 むしろ容易であり、今回のような計算はほぼ必要ない。

1 節で述べたように、 指数法則が有理数乗でも成立することのちゃんとした証明は、 普通の解析の本ではあまり見ることはないが、 それは、本稿で見たように、 とにかく地道にやっていくだけの面白くない議論、 あるいは似たような議論の繰り返しの話が だらだらと続くだけだからである。

逆に本稿は、それらを一通り紹介しているという ところに (のみ) 意味がある。 有理数乗で本当に指数法則が成り立つかが気になる、 という人には (そういう人はほとんどいないとは思うが)、 少しは役に立つかもしれない。

竹野茂治@新潟工科大学
2024-06-17