2 変数分離形の解法と似た方法

(1) の微分方程式の解法として、 変数分離法というものがある。 実質的にそれと同等のものを以下に説明する。

ただし、以下の議論では、

y' = 0  $\displaystyle \Rightarrow$  y =  定数 (3)
が成り立つことは利用する。 この事実は、厳密には平均値の定理により証明されるものであるが、 感覚的にも「変化率が 0 ならば定数」という事実として 納得できるものだろうと思う。

(1) の両辺を y で割れば

$\displaystyle {\frac{{y'}}{{y}}}$ = 1

となるが、この左辺は、

$\displaystyle {\frac{{d}}{{dx}}}$$\displaystyle \left(\vphantom{\log\vert y\vert}\right.$log| y|$\displaystyle \left.\vphantom{\log\vert y\vert}\right)$

を合成関数の微分を用いて微分したものに等しい。よって、

$\displaystyle {\frac{{d}}{{dx}}}$$\displaystyle \left(\vphantom{\log\vert y\vert}\right.$log| y|$\displaystyle \left.\vphantom{\log\vert y\vert}\right)$ = 1

となるが、積分を使わずに話を進めるとすると、1 = (x)' と見て、

$\displaystyle {\frac{{d}}{{dx}}}$$\displaystyle \left(\vphantom{\log\vert y\vert}\right.$log| y|$\displaystyle \left.\vphantom{\log\vert y\vert}\right)$ = (x)',   $\displaystyle \left(\vphantom{\log\vert y\vert-x}\right.$log| y| - x$\displaystyle \left.\vphantom{\log\vert y\vert-x}\right){^\prime}$ = 0

となるので、よって (3) より log| y| - x が定数であることになる。 それを C1 とすれば、

log| y| = C1 + x,   | y| = eC1+x = eC1ex

となるので、y

y = $\displaystyle \pm$eC1ex = C2ex

と表され、これにより (2) が得られることになる。

ただし、厳密には最初に y で割るところに少し問題がないわけではなく、 y が 0 の場合の議論を行う必要があるが、 y が 1 点でも 0 でない箇所があれば、 自動的に上の議論により C $ \neq$ 0 の (2) になることがわかるので、よってどの x でも 0 にはならない。

つまり、逆にある 1 点で 0 になるような y は、 すべての x で 0 でなければならないことになり、それは、 (2) の C = 0 に対応する。 よって、いずれにせよ (1) を満たす y は、 すべて (2) で表されることになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2008年7月6日