1 はじめに

応用数理 A の講義の後半に解説したラプラス変換
$\displaystyle \mathcal {L}$[f (t)](s) = $\displaystyle \int_{0}^{\infty}$e-tsf (t)ds (1)
は積分による変換なので、不定積分の計算と同様、 和や定数倍は難しくはないが、 積、商、合成関数のラプラス変換は難しい。 よって、積のラプラス変換は、 積でない形に変換できるならまずはそうするのが原則であり、 例えば三角関数同士の積の場合は、倍角の公式や積和の公式を用いて 積でない形に変形してから求める。

しかし t sin t のような場合は、積でない形に直すことはできないので、 このような場合は多項式倍や指数関数倍の場合だけに使える公式を用いて計算する。

そのような計算は教科書にも書いてあるが、 今年は講義では触れることができなかったし、 計算方法も何通りかあるので、 本稿ではその t sin t のラプラス変換を求めるいくつかの方法を紹介し、 さらに t cos t やより一般の tksin t , tkcos t の ラプラス変換についても考察してみることにする。

なお、以下に述べる計算には厳密的な説明が欠けている、 あるいは成立するための詳しい条件の説明を省略した、 いわゆる「形式的」なものも多い。 それらの正当性を厳密に議論することはここでは行わず、 あくまでそのような計算によって結果を求める、ということを目的とする。

竹野茂治@新潟工科大学
2008年3月18日