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3 周期解への収束

周期解の存在証明[3] では, 外力の $x$-方向の全変動が 影響を与えていたので, 実験に用いた時間周期的外力は, 最大値を保 ったままで全変動を変えられるように次のような関数とした.

\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
\displaystyle g(t,x)=A\sin\left(\frac{2\pi...
...ray}\right.\\
(0<a<1, A>0, T>0, N=1,2,\ldots)
\end{array}\end{displaymath}

$h(x;a,N)$ の全変動は $2N$, $h'(x;a,N)$ の最大値は $2N\pi/a$ と なる. ただし, 以下の実験では, この外力の変動は変化させず, すべて $N=2$, $a=0.5$ と固定し,外力については $A$, $T$ のみを変化 させて数値計算を行った. また, $u(t,x)$ の初期値 $u(0,x)$ は定数 $M$ で与えた. $x$-方向の 分割幅 $\Delta x$ は分割数 $L$ に対して $\Delta xL=1$ となるように定め, $t$-方向の分割幅 $\Delta t$ は, CFL 条件と, $T$ がちょうど $\Delta t$ の 整数倍になるように決定したが, 粘性効果が大きくなりすぎないように なるべく大きな値に取った. この外力の周期 $T$ と分割数 $L$ を変えて数値実験してみた結果を以 下に示す.

図 1: $u(mT,x)$: $T=0.9$, $L=1000$,
$m$=100,101,102,...,110
($A=1.0$, $M=1.0$)
\includegraphics[width=18.5zw]{data/eps/peri1.eps}
図 2: $u(mT,x)$: $T=0.7$, $L=1000$,
$m$=100,101,102,...,110
($A=1.0$, $M=1.0$)
\includegraphics[width=18.5zw]{data/eps/obi-2.eps}

Fig. 1,2$L=1000$ のときの $u(mT,x)$ の グラフを $m=100$ から $m=110$ まで, すなわち外力の $100$ 周期目から $110$ 周期目までのグラフを重ねて書いたもので, Fig. 1$T=0.9$, Fig. 2$T=0.7$ のときの様子 である. Fig. 1 のグラフはほとんど一本のグラフに見え, 関数 $u(mT,x)
 (m=100,101,\ldots,110)$ がほぼ同じものであることがわかる. これはこの解がこの時点でほぼ $T$-周期解になっていることを意味する. 一方 Fig. 2 のグラフは一本のグラフにまとまっているとは いいがたい.

$m$ の経過にともなうグラフのまとまり具合を, 外力の周期 $T$ を変化させて ながめてみると, この二つの例のように非常に速くまとまる $T$ とまとまりの 悪い $T$ があり, しかもこれらが $T$ の変化に対して入れ替わりにあらわれる. このまとまりの悪い $T$ では何らかの不安定さが働いているのではないかと 予想される.


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Shigeharu TAKENO
2001年 7月 20日