エントロピー条件には、同値な条件がいくつか存在するが、 本稿では主に区分的に な弱解のみを考察するため、 Oleinik 条件
を、任意の に対して満たすような有限値 が取れること、 をあげておくが、あとで別のエントロピー条件である Lax 条件もでてくる。エントロピー解として代表的なのは、リーマン問題と呼ばれる初期値問題
に対する解である膨張波 と衝撃波 で ある。のときは、(4) のエントロピー解は 連続で区分的に滑らかな膨張波
となる。ここで、 は、 であり、 より は単調増加なので、 は一価関数となる。 この解 (5) を と 書くことにする (図 1 左)。のときは、不連続が直線的に進行する衝撃波
となる。ここで、衝撃波速度 は、Rankine-Hugoniot 条件 から決定する (図 1 右)。 なお、膨張波は (5) を 方向に移動したものは Oleinik 条件を満たさないため現れないが、 衝撃波は (7) を 方向に移動したもの も出てくるので、これを と書くことにする。また、一般にエントロピー解 がある曲線 に沿って 第一種不連続である場合は、Rankine-Hugoniot 条件
と、Lax 条件 を満たす必要がある。 これにより、不連続箇所では必ず ジャンプダウン でなければ いけないことになる。(8) はこの条件を満たしているし、 逆に (8) がこの条件を満たすのが のとき、 ということになっている。なお、非粘性バーガース方程式と呼ばれる の場合には、 膨張波の は で、衝撃波速度 (8) は、
(5) の膨張波と (9) の衝撃波を 合わせて単純波と呼ぶが、 後で (10) と (11) を満たす、 直線的ではない不連続性も現れる。 そのような不連続性も本稿では衝撃波と呼ぶことにする。
竹野茂治@新潟工科大学