8 h(a)Bn の積分の評価

本節から、$h(a)B_n$$a$ での積分の一様有界性と その極限について考察していく。 ここでは、$\eta_n$, $\sigma_n$ は、最後まで部分積分した展開式 (36), (42) を用いる。

まず、簡単のため (36), (42) の積分項を

  $\displaystyle
\left\{\begin{array}{l}
\displaystyle G_j[\phi]
\ =\
\int_0...
...thop{\mathrm{p.v.}}\int_0^\infty\phi(x)\frac{\xi(x)}{x-1}dx
\end{array}\right.$ (97)
と書くことにする。また、$B_n$ であるが、 少し評価しづらい項を消すために、 $\sigma_n$ の代わりに、 $\bar{\sigma}_n=\sigma_n+\theta(w-z)\eta_n$ を用いる。すなわち、
\begin{eqnarray*}B_n
&=&
\eta_n\hat{\sigma}_n-\hat{\eta}_n\sigma_n
\ =\
\et...
...n)
\\ &=&
\eta_n\hat{\bar{\sigma}}_n-\hat{\eta}_n\bar{\sigma}_n\end{eqnarray*}
で考える。この $\bar{\sigma}_n$ は、(36), (42) より
  $\displaystyle
\bar{\sigma}_n
=
\theta\frac{(w-z)^{\tau+1}}{\mathop{\mathit{\...
...u)}
\left\{B_\tau\psi_n(w)+(\tau+1)\bar{G}_7[\Psi_n]+(\tau+1)L[\Psi_n]\right\}$ (98)
となる。 ここで、 $\bar{F}_7(x)=\bar{F}_1(x)-\bar{F}_0(x)$ としたが、 これは $x=1$ 以外で連続で、$x>0$ で有界かつ $L^1$ の関数である。

(36), (97), (98) に より、$B_n$ を展開すると次のようになる。

$\displaystyle B_n$ $\textstyle =$ $\displaystyle \theta\frac{(w-z)^{2\tau+1}}{\mathop{\mathit{\Gamma}}(-\tau)^2}$ 
    $\displaystyle \times
\left\{\left(A_\tau\psi_n(z)+B_\tau\psi_n(w)
-(\tau+1)\bar{G}_0[\Psi_n]-\tau(\tau+1)L[\Psi_n]-P[\Psi_n]\right)
\right.$ 
    $\displaystyle \left.
\times\left(B_\tau\hat{\psi}_n(w)+(\tau+1)\bar{G}_7[\hat{\Psi}_n]
+(\tau+1)L[\hat{\Psi}_n]\right)
\right.$ 
    $\displaystyle \left.
-\left(A_\tau\hat{\psi}_n(z)+B_\tau\hat{\psi}_n(w)
-(\tau+...
...{G}_0[\hat{\Psi}_n]-\tau(\tau+1)L[\hat{\Psi}_n]
-P[\hat{\Psi}_n]\right)
\right.$ 
    $\displaystyle \left.
\times\left(B_\tau\psi_n(w)+(\tau+1)\bar{G}_7[\Psi_n]
+(\tau+1)L[\Psi_n]\right)\right\}$ 
  $\textstyle =$ $\displaystyle \theta\frac{(w-z)^{2\tau+1}}{\mathop{\mathit{\Gamma}}(-\tau)^2}
\sum_{j=1}^{10}Q_j$(99)
ここで、$Q_j$ ( $1\leq j\leq 10$) は以下の通り。
\begin{eqnarray*}Q_1
&=&
A_\tau B_\tau(\psi_n(z)\hat{\psi}_n(w)-\hat{\psi}_n(...
...)\left(L[\Psi_n]P[\hat{\Psi}_n]
-L[\hat{\Psi}_n]P[\Psi_n]\right)\end{eqnarray*}
ここで、
  $\displaystyle
\bar{F}_0(x)-\tau\bar{F}_7(x)
=-\tau\bar{F}_1(x)+(\tau+1)\bar{F}_0(x)
=\bar{F}_8(x)$ (100)
とした。

これら $Q_j$ に対して、$h(a)$ と、さらに (99) の 頭についている $(w-z)^{2\tau+1}$ から $(w-z)$ をひとつ借用した 積の $a$ に関する積分

  $\displaystyle
K_j = \int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}(w-z)h(a)Q_jda\hspace{1zw}(1\leq j\leq 10)$ (101)
の一様有界性、およびその $n\rightarrow\infty$ のときの極限を 考えることにする。 なお、以前も少し用いたが、以後自然数 $k$ に対し、
  $\displaystyle
\psi_{0,k}(t)=t^k\psi_0(t)\in\mathcal{S},
\hspace{1zw}\hat{\psi}_{0,k}(t)=t^k\hat{\psi}_0(t)\in\mathcal{S}$ (102)
のように書くことにする。

まずは $K_1$ の評価から。$Q_1$ の定数の係数を除いた半分の項

$\displaystyle \psi_n(z)\hat{\psi}_n(w) = n^2\psi_0(n(z-a))\hat{\psi}_0(n(w-a))
$
については、$n(z-a)=t$ とすると
$\displaystyle a=z-\,\frac{t}{n},
\hspace{1zw}n(w-a) = n(w-z)+n(z-a)=N_n+t
$
となるので、その積分を $K^{(1)}_1$ とすると
\begin{eqnarray*}K^{(1)}_1
&=&
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}(w-z)h(a)\...
...R$}}h\left(z-\,\frac{t}{n}\right)\psi_0(t)
\hat{\psi}_0(N_n+t)dt\end{eqnarray*}
となって $N_n$ が一つ余ってしまうが、 それは、次のように $\psi_0$, $\hat{\psi}_0$ の積に吸収できる。
\begin{eqnarray*}N_n\psi_0(t)\hat{\psi}_0(N_n+t)
&=&
\{(N_n+t)-t\}\psi_0(t)\ha...
...\psi_0(t)\hat{\psi}_{0,1}(N_n+t)-\psi_{0,1}(t)\hat{\psi}_0(N_n+t)\end{eqnarray*}
よって
\begin{eqnarray*}\vert K^{(1)}_1\vert
&\leq&
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$...
...rt\psi_{0,1}\Vert _{L^1}\Vert\hat{\psi}_0\Vert _{L^\infty}\right)\end{eqnarray*}
と評価でき、これにより $K^{(1)}_1$ が、そして
$\displaystyle K_1=A_\tau B_\tau(K^{(1)}_1-\hat{K}^{(1)}_1)
$
$w,z\in [z_1,w_1]$$n$ に関して一様有界であることがわかる。 ここで $\hat{K}^{(1)}_1$$K^{(1)}_1$$\psi_0$, $\hat{\psi}_0$ を取りかえたものとした。以下同様に書くことにする。

また、$B_n$ には $(w-z)^{2\tau}$ 倍がついているので $z<w$ と考えてよく、このとき $n\rightarrow\infty$ に対して $N_n=n(w-z)\rightarrow\infty$ なので、

$\displaystyle \hat{\psi}_{0,1}(N_n+t)\rightarrow 0,
\hspace{1zw}\hat{\psi}_0(N_n+t)\rightarrow 0
$
となるので、Lebesgue 収束定理により $K^{(1)}_1$、 そして $K_1$ $n\rightarrow\infty$ に対して
  $\displaystyle
K^{(1)}_1\rightarrow0, \hspace{1zw}K_1\rightarrow 0$ (103)
となることがわかる。

なお、以後もこのように $K_j$ の係数を除いた半分 ($=K^{(1)}_j$ の ように書く) でまず考察を行う。

次は $K_2$。この場合係数を除いた半分の項は $n(z-a)=Z_n=t$ により

\begin{eqnarray*}\psi_n(z)\bar{G}_7[\hat{\Psi}_n]
&=&
n\psi_0(n(z-a)\int_0^\in...
...psi_0(t)\int_0^\infty n\hat{\psi}_0(n(w-a)-n(w-z)x)\bar{F}_7(x)dx\end{eqnarray*}
であり、 $n(w-a)-n(w-z)x = N_n+t-N_n x=N_n(1-x)+t$ なので、この積分は
\begin{eqnarray*}K^{(1)}_2
&=&
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}(w-z)h(a)\...
...i_0(t)dt
\int_0^\infty N_n\hat{\psi}_0(N_n(1-x)+t)\bar{F}_7(x)dx\end{eqnarray*}
となり、 $N_n(1-x)+t = y$ とすると $x=1+(t-y)/N_n$ より、
$\displaystyle K^{(1)}_2
=
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}h\left(z-\,\frac...
...int_{-\infty}^{N_n+t}\hat{\psi}_0(y)
\bar{F}_7\left(1+\frac{t-y}{N_n}\right)dy
$
となる。$\bar{F}_7(x)$ は有界なので、
$\displaystyle \vert K^{(1)}_2\vert
\leq
\Vert h\Vert _{L^\infty}\Vert\psi_0\Vert _{L^1}\Vert\hat{\psi}_0\Vert _{L^1}\Vert\bar{F}_7\Vert _{L^\infty}
$
と評価され、よって $K^{(1)}_2$, $K_2$ は一様有界となる。

極限は、 $h(z-t/n)\rightarrow h(z)$ となるが、 $\bar{F}_7=\bar{F}_1-\bar{F}_0$$x=1$ で不連続なので、 後ろの積分を

$\displaystyle \int_{-\infty}^{N_n+t}dy
=\int_t^{N_n+t}dy +\int_{-\infty}^tdy
$
と分けることで、前の積分では $y>t$ より $\bar{F}_7\rightarrow \bar{F}_7(1-0)$, 後の積分では $t>y$ より $\bar{F}_7\rightarrow \bar{F}_7(1+0)$ となり、 $K^{(1)}_2$ の極限は Lebesgue 収束定理より
$\displaystyle K^{(1)}_2
\rightarrow
h(z)\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}\p...
...ty\hat{\psi}_0(y)dy
+\bar{F}_7(1+0)\int_{-\infty}^t\hat{\psi}_0(y)dy\right)dt
$
となる。よって、$K_2$ の極限は、
$\displaystyle {K_2
\ \rightarrow\
(\tau+1)A_\tau h(z)}$
    $\displaystyle \times\left\{
\bar{F}_7(1-0)\left(
\int_{\mbox{\scriptsize\boldma...
...criptsize\boldmath$R$}}\hat{\psi}_0(t)dt\int_t^\infty\psi_0(y)dy\right)
\right.$ 
    $\displaystyle \left.
+\bar{F}_7(1+0)\left(
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}...
...tsize\boldmath$R$}}\hat{\psi}_0(t)dt\int_{-\infty}^t\psi_0(y)dy\right)
\right\}$(104)
となる。ここで、
  $\displaystyle
\left\{\begin{array}{ll}
\displaystyle \int_{\mbox{\scriptsize\...
...size\boldmath$R$}}\psi_0(y)dy\int_y^\infty\hat{\psi}_0(t)dt
\end{array}\right.$ (105)
なので、一般に $\psi_1,\psi_2\in\mathcal{S}$ に対して
  $\displaystyle
R[\psi_1,\psi_2] = \int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}\psi_1(t)
\left(\int_t^{\infty}\psi_2(y)dy
-\int_{-\infty}^t\psi_2(y)dy\right)dt$ (106)
と書くことにすると、(105) より
  $\displaystyle
R[\psi_1,\psi_2]=-R[\psi_2,\psi_1]$ (107)
も容易にわかる。これにより (104) の極限は、
$\displaystyle K_2$ $\textstyle \rightarrow$ $\displaystyle (\tau+1)A_\tau h(z)\{\bar{F}_7(1-0)R[\psi_0,\hat{\psi}_0]
-\bar{F}_7(1+0)R[\psi_0,\hat{\psi}_0]\}$ 
  $\textstyle =$ $\displaystyle -(\tau+1)A_\tau h(z)\left[\bar{F}_7(x)\right]_{1-0}^{1+0}
R[\psi_0,\hat{\psi}_0]$(108)
と書ける。ここで、 $\bar{F}_7(x)=\bar{F}_1(x)-\bar{F}_0(x)$$x=1$ での段差は、 (39), (44) より
  $\displaystyle
\left[\bar{F}_7(x)\right]_{1-0}^{1+0}
=\left[\bar{F}_1(x)-\bar{F}_0(x)\right]_{1-0}^{1+0}
=-A_\tau$ (109)
なので、よって (108) は
  $\displaystyle
K_2
\rightarrow
K^\infty_2
= (\tau+1)A_\tau^2h(z)R[\psi_0,\hat{\psi}_0]$ (110)
となることがわかる。

なお、この $R[\psi_0,\hat{\psi}_0]$ は、[3] の 6 節 の $(-I_5)$ に等しく、よって結論に重要な役割を果たすことに 注意する。

次は $K_3$。 係数を除いた半分の項 $K^{(1)}_3$ は、$K_2$ の場合と同様に考えると、

\begin{eqnarray*}\psi_n(w)\bar{G}_1[\hat{\Psi}_n]
&=&
n\psi_0(n(w-a))\int_0^\i...
...si_0(N_n+t)\int_0^\infty n\hat{\psi}_0(N_n(1-x)+t)\bar{F}_1(x) dx\end{eqnarray*}
であるが、さらに $N_n+t=s$ とすると
$\displaystyle z-\,\frac{t}{n}=z+(w-z)-\,\frac{s}{n} = w-\,\frac{s}{n}
$
よりその積分は
\begin{eqnarray*}K^{(1)}_3
&=&
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}(w-z)h(a)\...
...\infty}^s\hat{\psi}_0(y)
\bar{F}_1\left(\frac{s-y}{N_n}\right)dy\end{eqnarray*}
となる。よってこの場合も
$\displaystyle \vert K^{(1)}_3\vert
\leq
\Vert h\Vert _{L^\infty}\Vert\psi_0\Vert _{L^1}\Vert\hat{\psi}_0\Vert _{L^1}\Vert\bar{F}_1\Vert _{L^\infty}
$
とおさえられて $K^{(1)}_3$, $K_3$ は一様有界となり、その極限は Lebesgue 収束定理より
$\displaystyle K^{(1)}_3
\rightarrow
h(w)\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}\psi_0(s)ds\int_{-\infty}^s\hat{\psi}_0(y)dy\bar{F}_1(+0)
$
となる。よって $K_3$ の極限は、 (44), (106) より、
$\displaystyle K_3$ $\textstyle \rightarrow$ $\displaystyle K^{\infty}_3
\ =\ (\tau+1)B_\tau h(w)\bar{F}_1(+0)$ 
    $\displaystyle \times\left(
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}\psi_0(s)ds\int...
...ox{\scriptsize\boldmath$R$}}\hat{\psi}_0(s)ds\int_{-\infty}^s\psi_0(y)dy\right)$ 
  $\textstyle =$ $\displaystyle (\tau+1)B_\tau^2 h(w)R[\psi_0,\hat{\psi}_0]$(111)
となることがわかる。

次は、$K_4$ の前に先に $K_5$ から考える。

\begin{eqnarray*}\psi_n(w)L[\hat{\Psi}_n]
&=&
n\psi_0(n(w-a))\int_0^\infty\hat...
...t_0^\infty n\hat{\psi}_0(N_n(1-x)+t)
\xi(x)\log\vert x-1\vert dx\end{eqnarray*}
より、$\xi(x)$ の台が [1/2,3/2] に含まれることから、
\begin{eqnarray*}\lefteqn{
K^{(1)}_5
\ =\
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R...
..._{1/2}^{3/2} N_n\hat{\psi}_0(s-N_nx)
\xi(x)\log\vert x-1\vert dx\end{eqnarray*}
となる。 2 つ目の積分の頭にある $N_n$ は、 これまでのような $x$ から $y=s-N_n x$ での変数変換で消しても、 $\log$ の特異性が残ってしまうのでうまくいかない。 よってここでは $x>1/2$ を利用して、$N_n$$\hat{\psi}_0$ に 吸収させることを考える。 すなわち、
\begin{eqnarray*}\lefteqn{\psi_0(s)N_n\hat{\psi}_0(s-N_n x)
\ =\
\psi_0(s)\,\...
...0,1}(s)\hat{\psi}_0(s-N_n x)-\psi_0(s)\hat{\psi}_{0,1}(s-N_n x)\}\end{eqnarray*}
により、
$\displaystyle \vert K^{(1)}_5\vert
\leq
\Vert h\Vert _{L^\infty}\left(\Vert\psi...
...ht)
\int_{1/2}^{3/2}\frac{\xi(x)}{x}\left\vert\log\vert x-1\vert\right\vert dx
$
となる。ここで、 $(\xi(x)\log\vert x-1\vert)/x$ は [1/2,3/2] で $L^1$ なので、 $K^{(1)}_5$, $K_5$ は一様有界となる。

極限は、

$\displaystyle \hat{\psi}_0(s-N_n x)\rightarrow 0,
\hspace{1zw}\hat{\psi}_{0,1}(s-N_n x)\rightarrow 0
$
より、Lebesgue 収束定理により $K^{(1)}_5, K_5$ $n\rightarrow\infty$ に対して
  $\displaystyle
K^{(1)}_5\rightarrow 0,\hspace{1zw}K_5\rightarrow 0$ (112)
となる。

次は $K_4$ に戻る。$K_5$ と同様に変形すると、

\begin{eqnarray*}K^{(1)}_4
&=&
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}(w-z)h(z)\...
...0^\infty N_n\hat{\psi}_0(N_n(1-x)+t)
\xi(x)\log\vert x-1\vert dx\end{eqnarray*}
とできるが、 $(\xi(x)\log\vert x-1\vert)/(1-x)$$L^1$ ではないので、 $K_5$ とは違い $N_n$$\hat{\psi}_0$ に吸収させることはできない。 よって、この場合は $x$ の積分を $\mbox{\boldmath$R$}$ 全体に広げてから $N_n(1-x)+t = y$ と置換することで消すと、
$\displaystyle K^{(1)}_4
=
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}h\left(z-\,\frac...
...)
\xi\left(1+\frac{t-y}{N_n}\right)\log\left\vert\frac{t-y}{N_n}\right\vert dx
$
となる。 この式単独で有界性を示すのは難しいが、$K_4$ 全体で考えれば 可能である。 $\psi_0$, $\hat{\psi}_0$ を入れかえたもう一方の積分
$\displaystyle \hat{K}^{(1)}_4
=
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}h\left(z-\...
...)
\xi\left(1+\frac{t-y}{N_n}\right)\log\left\vert\frac{t-y}{N_n}\right\vert dy
$
において $t$$y$ を入れかえると、 $\xi(x)$$x=1$ で対称なので、
\begin{eqnarray*}\hat{K}^{(1)}_4
&=&
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}h\le...
...\frac{t-y}{N_n}\right)\log\left\vert\frac{t-y}{N_n}\right\vert dy\end{eqnarray*}
となり、よって
\begin{eqnarray*}K_4
&=&
(\tau+1)A_\tau(K^{(1)}_4-\hat{K}^{(1)}_4)
\ =\
(\t...
...\frac{t-y}{N_n}\right)\log\left\vert\frac{t-y}{N_n}\right\vert dy\end{eqnarray*}
となるが、命題 3 より、
$\displaystyle {\left\vert h\left(z-\,\frac{t}{n}\right)
-h\left(z-\,\frac{y}{n}...
...t-y}{N_n}\right)
\left\vert\log\left\vert\frac{t-y}{N_n}\right\vert\right\vert}$
  $\textstyle \leq$ $\displaystyle C_0\left(\left\vert\frac{t-y}{n}\right\vert^{2\tau}
+\left\vert\f...
...{t-y}{N_n}\right)
\left\vert\log\left\vert\frac{t-y}{N_n}\right\vert\right\vert$ 
  $\textstyle =$ $\displaystyle C_0\left((w-z)^{2\tau}\left\vert\frac{t-y}{N_n}\right\vert^{2\tau...
...{t-y}{N_n}\right)
\left\vert\log\left\vert\frac{t-y}{N_n}\right\vert\right\vert$(113)
となるが、今 $g_1(x)=g_1(x;d)$
  $\displaystyle
g_1(x) = g_1(x;d)
= C_0(d^{2\tau}\vert x\vert^{2\tau}+d\vert x\vert)
\xi(1+x)\left\vert\log\vert x\vert\right\vert$ (114)
とすると、$g_1(x)$ は非負、連続、かつ上に有界な関数となる。 これにより (113) は、
$\displaystyle {
\left\vert h\left(z-\,\frac{t}{n}\right)
-h\left(z-\,\frac{y}{n...
...t-y}{N_n}\right)
\left\vert\log\left\vert\frac{t-y}{N_n}\right\vert\right\vert}$
  $\textstyle \leq$ $\displaystyle g_1\left(\frac{t-y}{N_n};w_1-z_1\right)$(115)
となるので、よってこの左辺は $w,z\in [z_1,w_1]$ 上有界となり、 よって $K_4$ は一様有界となることがわかる。

$K_4$ の極限は、(115) の左辺は $g_1(0)=0$ より 0 に収束するので、 Lebesgue 収束定理により

  $\displaystyle
K_4\rightarrow 0$ (116)
となる。

次は、$P[\Psi_n]$ の含まれる $K_6$ は後回しにして、 $K_7$ を先に考える。

\begin{eqnarray*}K^{(1)}_7
&=&
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}(w-z)h(a)\...
...s
\int_0^\infty \psi_0(W_n-N_n\bar{x})\bar{F}_7(\bar{x})d\bar{x}\end{eqnarray*}
この 3 つの積分でそれぞれ置換をすれば $n$ は むしろひとつ余計に消せるのであるが、 そうすると一番外の積分で $n$ によらない $L^1$ 関数が取れなくなる。

よって、まず $a$$x$ に関して $n(w-a)=W_n=s$ $W_n-N_n x=s-N_n x=y$ によって 置換をすることで $n^2$ を消すようにすると、

$\displaystyle K^{(1)}_7
=
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}h\left(w-\,\frac...
...-y}{N_n}\right)dy
\int_0^\infty \psi_0(s-N_n\bar{x})\bar{F}_7(\bar{x})d\bar{x}
$
となり、これは $n$ を固定すれば当然可積分であるから Fubini の定理より、
\begin{eqnarray*}K^{(1)}_7
&=&
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}\hat{\psi}...
...t)
\bar{F}_0\left(\frac{s-y}{N_n}\right)
\psi_0(s-N_n\bar{x})ds\end{eqnarray*}
とできるが、 $\hat{\psi}_0\in L^1(\mbox{\boldmath$R$})$, $\bar{F}_7\in L^1(0,\infty)$ であり、 最後の $s$ の積分も、 $s-N_n\bar{x}=t$ と置換すれば すべての積分で $n$ によらない $L^1$ 関数が取れることになる:
\begin{eqnarray*}K^{(1)}_7
&=&
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}\hat{\psi}...
...ight)
\bar{F}_0\left(\frac{t-y}{N_n}+\bar{x}\right)
\psi_0(t)dt\end{eqnarray*}
これで、
$\displaystyle \vert K^{(1)}_7\vert
\leq
\Vert\hat{\psi}_0\Vert _{L^1}\Vert\bar{...
...\Vert h\Vert _{L^\infty}\Vert\bar{F}_0\Vert _{L^\infty}\Vert\psi_0\Vert _{L^1}
$
と評価されるので、$K^{(1)}_7$, $K_7$ が一様有界となる。

極限は、$\bar{x}>0$ より $y-N_n\bar{x}\rightarrow -\infty$ であり、また

$\displaystyle h\left(w-(w-z)\bar{x}-\,\frac{t}{n}\right)
\rightarrow h(w-(w-z)\...
...zw}\bar{F}_0\left(\frac{t-y}{N_n}+\bar{x}
\right)\rightarrow\bar{F}_0(\bar{x})
$
となるので Lebesgue 収束定理より、
\begin{eqnarray*}K^{(1)}_7
&\rightarrow&
K^{(1),\infty}_7
\\ &=&
\int_{\mbox...
...y \bar{F}_0(\bar{x})\bar{F}_7(\bar{x})
h(w-(w-z)\bar{x})d\bar{x}\end{eqnarray*}
となる。そしてこの極限は $\psi_0$$\hat{\psi}_0$ を 入れかえても値は変わらないので、
  $\displaystyle
K_7
=(\tau+1)^2(K^{(1)}_7-\hat{K}^{(1)}_7)
\rightarrow (\tau+1)^2(K^{(1),\infty}_7-\hat{K}^{(1),\infty}_7)
= 0$ (117)
となる。

次は $K_8$。これは今の $K_7$ と同じように評価できる。

\begin{eqnarray*}K^{(1)}_8
&=&
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}(w-z)h(a)\...
...t)
\bar{F}_8\left(\frac{s-y}{N_n}\right)
\psi_0(s-N_n\bar{x})ds\end{eqnarray*}
とすると、 $\hat{\psi}_0\in L^1(\mbox{\boldmath$R$})$, $\xi(x)\log\vert x-1\vert\in L^1(\mbox{\boldmath$R$})$ なので、 最後の積分で $s-N_n\bar{x}=t$ とすれば、
\begin{eqnarray*}K^{(1)}_8
&=&
\int_{\mbox{\scriptsize\boldmath$R$}}\hat{\psi}...
...ight)
\bar{F}_8\left(\frac{t-y}{N_n}+\bar{x}\right)
\psi_0(t)dt\end{eqnarray*}
となるので、
$\displaystyle \vert K^{(1)}_8\vert
\leq
\Vert\hat{\psi}_0\Vert _{L^1}\Vert\xi(x...
...\Vert h\Vert _{L^\infty}\Vert\bar{F}_8\Vert _{L^\infty}\Vert\psi_0\Vert _{L^1}
$
でおさえられ、$K^{(1)}_8$, $K_8$ は一様有界となる。

$n\rightarrow\infty$ の極限は、Lebesgue 収束定理より、

\begin{eqnarray*}K^{(1)}_8
&\rightarrow&
K^{(1),\infty}_8
\\ &=&
\int_{\mbox...
...)\bar{F}_8(\bar{x})
\xi(\bar{x})\log\vert\bar{x}-1\vert d\bar{x}\end{eqnarray*}
となり、$\psi_0$, $\hat{\psi}_0$ の入れかえでこの極限は 変わらないので、
  $\displaystyle
K_8=(\tau+1)^2(K^{(1)}_8-\hat{K}^{(1)}_8)
\rightarrow (\tau+1)^2(K^{(1),\infty}_8-\hat{K}^{(1),\infty}_8)
= 0$ (118)
となる。

以上で、$P[\Psi_n]$ を含む $K_6$, $K_9$, $K_{10}$ 以外の評価は すべて終わったことになり、いずれも一様有界で、 (110), (111) の $K_2$, $K_3$ 以外は すべて 0 に収束することがわかった。

竹野茂治@新潟工科大学
2023-04-03