113.29 非線形関数回帰 (fit)

コマンド set fit は、fit コマンド用のオプションを制御します。

書式:


     set fit {nolog | logfile {"<filename>"|default}}
             {{no}quiet|results|brief|verbose}
             {{no}errorvariables}
             {{no}covariancevariables}
             {{no}errorscaling}
             {{no}prescale}
             {maxiter <value>|default}
             {limit <epsilon>|default}
             {limit_abs <epsilon_abs>}
             {start-lambda <value>|default}
             {lambda-factor <value>|default}
             {script {"<command>"|default}}
             {v4 | v5}
     unset fit
     show fit

オプション logfile は、fit コマンドがその出力を書き出す場所を定義 します。 引数 <filename> は、単一引用符か二重引用符で囲む必要がありま す。ファイル名を指定しなかった場合、または unset fit を使用した場合 は、ログファイルはデフォルトの値である "fit.log"、または環境変数 FIT_LOG の値にリセットされます。与えられたログファイル名が / か \ で 終っている場合、それはディレクトリ名と解釈され、ログファイルはそのディ レクトリの "fit.log" となります。

デフォルトでは、そのログファイルに書かれる情報は、対話型出力にも出力し ます。set fit quiet はその対話型出力をオフにし、results は最終結果 のみを出力します。brief は、追加で fit のすべての繰り返しに関して 1 行の要約を提供します。verbose は、バージョン 4 のような詳細な繰り返 しの報告を行います。

オプション errorvariables を ON にすると、fit コマンドで計算された 個々の当てはめパラメータの誤差が、そのパラメータの名前に "_err" をつけ た名前のユーザ定義変数にコピーされます。これは主に、当てはめ関数とデー タの描画グラフの上にパラメータとその誤差を参照用に出力するのに使われま す。例:


      set fit errorvariables
      fit f(x) 'datafile' using 1:2 via a, b
      print "error of a is:", a_err
      set label 1 sprintf("a=%6.2f +/- %6.2f", a, a_err)
      plot 'datafile' using 1:2, f(x)

オプション errorscaling を指定すると (デフォルト)、パラメータの計算 誤差を補正χ自乗 (reduced χ-square) で伸縮します。これは、結果として 補正χ自乗値になる、当てはめ計算の標準偏差 (FIT_STDFIT) に等しいデータ 誤差を提供することと同等になります。オプション noerrorscaling では、 評価誤差は、伸縮されない当てはめパラメータの標準偏差になります。 データの重みを指定しなければ、パラメータの誤差は常に伸縮されます。

オプション prescale をオンにすると、Marquardt-Levenberg ルーチンに渡 す前に、各パラメータの値をそれらの初期値に従って事前にスケール変換しま す。これは、各パラメータの大きさにかなり大きな違いがある場合に、大変有 効です。ただし、初期値が完全に 0 の当てはめパラメータには、決してこの スケール変換は行いません。

反復数の限界値は、オプション maxiter で制限できます。それを 0 か default とすると、それは限界がないことを意味します。

オプション limit は、収束を検出するためのもっとも小さい数字の限界 (1e-5) のデフォルトの値を変更するのに使えます。自乗残差の和がこの数値 未満の比率の変化しかしない場合は、当てはめは「収束した」と判断されます。 オプション limit_abs は、自乗残差の和の変化の限界 (絶対値) を追加し ます。デフォルトは 0 です。

アルゴリズムに関する別の制御をしたい場合、そして Marquardt-Levenberg アルゴリズムを良く知っている場合、それに影響を与える以下のオプションが 利用できます: lambda の初期値は、通常自動的に ML-行列から計算されま すが、必要ならばオプション start_lambda を使ってそれを与えることがで きます。それを default とすると、再び自動設定が有効になります。オプ ション lambda_factor は、対象とする関数のχ自乗値が意味ありげに増加 する/減少するときは常に lambda を増加させる/減少させる因子を設定しま す。それを default とすると、デフォルトの因子である 10.0 にします。

オプション script は、fit を中断したときに実行する gnuplot コマン ドを指定するものです。以下参照: fit (89)。この設定はデフォルトの replot や環境変数 FIT_SCRIPT よりも優先順位は上です。

オプション covariancevariables をオンにすると、最終的なパラメータ間 の共分散をユーザ定義変数に保存します。各パラメータの組に対してその共分 散を保存する変数名は、"FIT_COV_" に最初のパラメータ名と "_" と 2 つ目 のパラメータをつなげた名前になります。例えばパラメータ "a""b" に対 しては、その共分散変数名は "FIT_COV_a_b" となります。

バージョン 5 では、コマンド fit の書式は変更され、キーワード error が指定されていない場合は単位重み (unitweights) がデフォルトになりま した。オプション v4 で gnuplot バージョン 4 のデフォルトの挙動に戻り ます。以下も参照: fit (89)

竹野茂治@新潟工科大学
2024-12-02