4 使用方法 2. も含めた考察

次は、使用方法 2. も含めた考察を行う。

ポイントの分だけ値引きされると考えるのであれば、 支払い額が大きいほど大きなポイントがもらえて得となるので、 ポイントを毎回使用するよりも、 使用方法 2. の方が得のようにも思える。 よって、今度は、具体的な $A$, $x$, $n$ に対して、 端数の処理も考えた上で使用方法 1. と 2. の比較を行うことにする。 ポイントの端数 (小数以下) は切り上げとする。

$A=10000$ 円、$x=0.1$ (10%), $n=11$ とすると、各支払い額、 ポイント値は使用方法 1., 2. で以下のようになる。

  使用方法 1. 使用方法 2.
回数 $j$ 支払い額 $B_j$ ポイント数 $p_j$ 支払い額 $B_j$ ポイント数 $p_j$
1 10000 1000 10000 1000
2 9000 900 10000 2000
3 9100 910 10000 3000
4 9090 909 10000 4000
5 9091 910 10000 5000
6 9090 909 10000 6000
7 9091 910 10000 7000
8 9090 909 10000 8000
9 9091 910 10000 9000
10 9090 909 10000 10000
11 9091 910 0 0
合計 100,824 円 (10086) 100,000 円  

この表から、以下のことがわかる。

最後のポイントも含めると、得した金額は使用方法 1. では 当然それはポイント合計に等しくなる。 それが使用方法 2. の 10,000 円を上回るのは、 11 回目の代金では使用方法 2. にポイントが 1 円もつかないからである。 つまり、支払い額だけ考えれば使用方法 2. の方が得に見えるが、 長く利用する店であれば、最後のポイントをまた今後も使用するので、 必ずしも使用方法 2. の方が得であるとは限らないことになる。

なお、最後のポイント数は完全に得をした金額と言えるわけではなく、 将来使える金額なので、 博打の中止問題のように全額を得した金額に入れるのでなく、 その何割かのみを入れるべきなのかもしれない。

また、使用方法 1. や 2. 以外の方法で、 さらに得をする方法があるかどうかはわからないし、 $A$, $x$, $n$ の数値が変われば別な結果が得られるかもしれないが、 常識的な数値ではほぼ同様の結果となるだろうと思う。

竹野茂治@新潟工科大学
2018年2月15日