5 最後に

本稿では、「裏側」から考えることで、[1] の主要な命題の証明を 易しくすることができることを紹介した。

最後の節に書いたように、それ (に近いこと) を 実際の場面で応用することもできなくはないが、 そこにも書いたように、引き算で計算しない分、 若干不安が残り、実際に実行するにはかなり勇気が必要そうな気がする。

私も普段は [1] の方法で考えながら出すことが多いが、 間違えることもあって、財布が仮定 3 を満たさない状態であることもある。 今回の方法ではどうかと言えば、 コンビニのレジで商品を袋につめてもらう間に 間違えずに計算できる自信はあまりないが、 計算の優劣を決めるため、余裕があるときは試してみたいと思う。

なお、お釣りが 5 円、50 円、500 円になる場合は、 1 円、10 円、100 円になる場合より少し自明さが少ないので、 レジの人が少しとまどうことも多い。 特に 55 円、550 円などのお釣りになる場合を読み切って小銭を正しく出せると、 怪訝そうな顔をされることもある。 ただし、そういう際に得意気な顔をするのは、 間違えたときに逆に恥ずかしい思いをするかもしれないし、 最近はまとめてお金を入れて自動的にお釣りを計算して出してくれる レジが増えているので、 なんとも思ってくれないことも多いかもしれない。

竹野茂治@新潟工科大学
2017年12月20日