規則 1:
これによれば、 例えば という式であれば、 まずカッコの中の を計算し となり、 次に指数 を計算して となり、 積 と を計算して となり、 最後に差を計算して のようにすることになる。
もちろん慣れてくると、この順序には必ずしも従わずに、 干渉し合わないところは並列に計算して、 のようにしたり、 計算公式を利用して
つまり、人間は、コンピュータのように基本的なルール通りにしか 計算しないのではなく、 「正しいと思う方法、楽だと思う方法」で自分なりに計算するため、 そこに間違いが起こる余地が生まれる。 例えばよく見る間違いは、
しかも、規則 1 の優先順位規則はそれだけでは完全とはいえず、 式の計算には必要だがここには含まれてはいないルールもあるし、 さらに数式の書き方には「暗黙の了解」のようなものも存在するため、 式によってはどれを先に計算するのかがわかりにくい場合もある。
例えば、
(1)
(2)
また、
(2) も、「左から」と見てしまうと、 一見 の方が正しいように見えてしまうかもしれないが、 (1) の例でわかるとおり、 指数部分にはカッコを書かなくてよいという 「暗黙のルール」があるため、あえてカッコを書けば実は
また、規則 1 の (1) については 「再帰性」があり、 カッコの中の数式も再び規則 1 が適用される、 という構造になっている。 規則 1 のように書くと、 一見それらが単に順番に適用されるように見えてしまうかもしれないが、 実際にはそうではない。
例えば、
そして、その後に小カッコの外の計算になり、また指数からの計算となる。 すなわち、以下のようになる。
しかし、このような再帰性は、 規則 1 だけから正しく読みとれるかと言えば、 やや疑問に感じなくもない。
ちなみに、コンピュータ言語の数式では、 式の書き方や優先順位が明確に決まっていないと コンピュータが動かないので、 むしろ教育での「数学」よりもそれらは明確、厳密に 提示されているように思う。 よって、コンピュータ言語を学ぶことで、 普段の数式のあいまいさを再認識することができる可能性もある。 しかし、通常の数式の書き方が正しくできない学生は、 当然正しく動くコンピュータプログラムを書くことはできない。
竹野茂治@新潟工科大学