4 伸びとの相関

本節で、$x$ と伸びとの相関を調べてみる。まずは $x$$z$ から。

\begin{displaymath}
\bar{z}
= \frac{1}{N}\sum_{j=1}^N z_j
= \frac{1}{N}\sum_{j=1}^N (y_j-x_j)
= \bar{y}-\bar{x}
\end{displaymath}

より、
$\displaystyle S_{xz}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \sum_{j=1}^N x_jz_j - N\bar{x}\bar{z}
 =\
\sum_{j=1}^N x_jy_j - \sum_{j=1}^N x_j^2 - N\bar{x}\bar{y} + N(\bar{x})^2$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle S_{xy}-S_{xx},$ (9)
$\displaystyle S_{zz}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \sum_{j=1}^N z_j^2 - N(\bar{z})^2
 =\
\sum_{j=1}^N (y_j-x_j)^2 - N(\bar{y}-\bar{x})^2$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \sum_{j=1}^N y_j^2 -2\sum_{j=1}^N y_jx_j +\sum_{j=1}^N x_j^2
- N(\bar{y})^2 +2N\bar{y}\bar{x} - N(\bar{x})^2$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle S_{yy}-2S_{xy}+S_{xx}$ (10)

となる。よって、$x$$z$ の相関係数 $r_{xz}$
\begin{displaymath}
r_{xz}
= \frac{S_{xz}}{\sqrt{S_{xx}S_{zz}}}
= \frac{S_{xy}-S_{xx}}{\sqrt{S_{xx}(S_{xx}-2S_{xy}+S_{yy})}}\end{displaymath} (11)

となるので、$x$$z$ の相関は必ずしも 0 になるわけではなく、 相関が 0 になるのは $S_{xy}=S_{xx}$ のとき、 すなわち $x$$y$ の回帰直線 (6) の傾き $\alpha_{xy}$ が 1 のとき、となる。 元々の回帰直線の傾きが 1 に近ければ $x$$z$ との相関は 小さくなるが、一般にはそうとも限らない。

次は $x$$w$ の相関を考える。

\begin{displaymath}
w_j = (y_j-\bar{y})-\alpha_{xy}(x_j-\bar{x})\end{displaymath} (12)

より、

\begin{displaymath}
\bar{w}
= \sum_{j=1}^N(y_j-\bar{y})-\alpha_{xy}\sum_{j=1}^N(x_j-\bar{x})
= 0
\end{displaymath}

すなわち $w$ の平均は 0 となる。よって、

\begin{eqnarray*}S_{xw}
&=&
\sum_{j=1}^Nx_jw_j - N\bar{x}\bar{w}
 =\
\sum_...
..._{xy}S_{xx}
 &=&
S_{xy}-\frac{S_{xy}}{S_{xx}}S_{xx}
 =\
0\end{eqnarray*}

となり、$x$, $w$ の積和は 0 となる。一応 $S_{ww}$ も計算してみると、

\begin{eqnarray*}S_{ww}
&=&
\sum_{j=1}^N(w_j-\bar{w})^2
 =\
\sum_{j=1}^N\{...
... =\
S_{yy}-\frac{S_{xy}^2}{S_{xx}}
 &=&
S_{yy}(1-r_{xy}^2)\end{eqnarray*}

となるので、$x$$y$ が完全に直線相関 ($r_{xy}=\pm 1$) で なければ $S_{ww}>0$ であり、$x$, $w$ の相関は

\begin{displaymath}
r_{xw} =\frac{S_{xw}}{\sqrt{S_{xx}S_{ww}}} = 0
\end{displaymath}

すなわち、相関は常に 0 であることがわかる。

竹野茂治@新潟工科大学
2019-06-05