4 余りの作る体

この余りについては、次のことが成り立つことが知られている (いずれも容易に証明ができるので考えてみるとよいだろう)。
a $ \equiv$ p , b $ \equiv$ q(mod x) のとき、
つまり、元の数字の和、差、積の余りは、 余りの和、差、積 (の余り) と同じである、ということになる。

曜日の数字は 0 から 6 まで進み、その次はまた 0 に戻る、 といった形で考えることになるが、 これは前に述べたように 7 で割った余りを考えることになる。

特に 7 のように素数で割った余りの数字にの場合は 割り算もできることが知られていて、このような余りの世界を 数学では と呼んでいる。

7 の余りの積の表を表 6 に示すが、

表 6: 7 の余りの積の表
x 0 1 2 3 4 5 6
0 0 0 0 0 0 0 0
1 0 1 2 3 4 5 6
2 0 2 4 6 1 3 5
3 0 3 6 2 5 1 4
4 0 4 1 5 2 6 3
5 0 5 3 1 6 4 2
6 0 6 5 4 3 2 1


0 以外のどの列、どの行にも 0 から 6 のすべての数が現われることがわかる。 よって、a が 0 でなければ a x x $ \equiv$ b(mod 7) という x が常に求まることになり、 この x がこの 7 の余りの世界では b ÷ a に相当することになる。

ただ、これが何に使えるかというとあまりいい例は思い浮かばないが、 無理矢理考えれば、次のような例がある。

問題:
あるプロ野球チームで、中 4 日 (5 日毎) に登板するピッチャーが 金曜日に登板したとすると、次に火曜日に登板するのは何日後のことか。
解答:
次の x 回目の登板は y = 5x 日後であるから、それが火曜日となるのは、

y + (金曜日) = y + 5 $\displaystyle \equiv$ 2(mod 7)

となるとき。よって、

    5x + 5 $\displaystyle \equiv$ 2(mod 7)  
    5x $\displaystyle \equiv$ 2 - 5 $\displaystyle \equiv$ -3 $\displaystyle \equiv$ 4(mod 7)  
    x $\displaystyle \equiv$ 4 ÷ 5 $\displaystyle \equiv$ 5(mod 7)   (5 x 5 $\displaystyle \equiv$ 4(mod 7) より)  

となることが上の表 6 からわかる。 よって、 x = 5, 12,... となり、最短で y = 5 x 5 = 25 日後、となる。

竹野茂治@新潟工科大学
2007年12月20日