2 回目の講義で課したアンケート項目は以下のものでした。
「OS」という言葉に関しては、 「オペレーティングシステム」という程度の説明に留め、 「OS って何ですか」という質問には、 「それも含めてのアンケートの設問である」と説明しました。 つまり、どれくらいの人がそれを知らないのか、 ということを知ることも考えてのことです。
複数の回答も多かったのですが、それに関しても集計してみました。 あげられていた OS は大別して MS-Windows 系 OS, Mac OS, MS-DOS, Unix (Linux を含む)、わからない、その他、といった感じでしたが、 それらは以下のようになりました。
OS とは何かが分からなかった学生は 5 名 (10.0%) で、 例年よりやや少ないようです (2003:8.0%, 2004:16.4%, 2005:11.2%, 2006:18.8%) が、今回は私の番が最後なので、 多分「コンピュータリテラシ」で学んでいるなどの影響も あるのではないかと思います。
OS とは何かが分からなかった学生以外の全員が 「使ったことがある OS」として MS-Windows 系 OS を上げていました。 「使ったことはないが」の方に上がっている MS-Windows 系 OS は、 「MS-Windows Xp は使ったことはあるが MS-Windows 2000 は使ったことはない」 といった形で上げてありました。 使ったことがある OS でも MS-Windows のいくつかのバージョンを回答している学生が多かったでした。 つまりそういうことを知っている学生がかなりいたことになりますが、 これは高校や大学のコンピュータリテラシ教育の影響か、 それとも情報の学生らしくパソコンに関する情報を 何かで得ているのかもしれませんね。 しかし後者だとすると、それにしては他の PC 用の OS に関する意見が 少ないような気もします。
上にあがっている MS-Windows 以外の OS ですが、 MS-DOS は MS-Windows の一つ前の世代のパソコン用の OS で、 MS-Windows 3.1 や Pentium プロセッサが出た 1993,1994 年位から 急速に利用者は減ったと思います。 今年は使ったことがある人はついに 1 人になりましたし (2003:10.3%, 2004:9.8%, 2005:10.1%, 2006:3.1%)、 MS-Windows 3.1 を使ったことがある人もいなくなりました。
Mac OS も、パソコンショップでは現在でも一角を占めている割には ユーザが少ない感じがします (2003:10.3%, 2004:9.8%, 2005:7.9%, 2006:3.1%)。 ただ、Apple の iMac, ipod, iphone などの戦略のおかげか、 例年よりは知っている人はだいぶ多いようです。 しかし、それも中途半端なところもあり、 正確に "Mac OS" (Mac OSX) と答えた人はほとんどいなくて、 大半が「Mac」「マッキントッシュ」などの回答でした (いずれも OS 名というよりはパソコン名といった感じ)。
Unix 系 OS も、ある特定の 1 人が沢山 Unix 系 OS を上げていた以外は、 例年通りあまり上がっていませんでした (2003:4.6%, 2004:0.0%, 2005:3.4%, 2006:4.7%)。 これは多分触れる場があまりないためなのだろうと思います。
その他の OS として上げられているものを見ますと、 BeOS は、Be という会社の BeBox というパソコン (ワークステーション) 用に作られた OS で、 Mac (Power Mac) でも動く OS として注目され、 後に MS-Windows 系の PC でも動くようになったようですが、 ややマイナーで、Be 社もなくなってしまいました (現在は、それをフリーで引き継ぐようなプロジェクトがいくつかあるようです)。
TRON は国産 OS で、パソコン用の OS もありますが (BTRON, 超漢字)、 現在は組み込み機器 (マイコン) 用の OS として使われる ITRON が有名で、 一時期は携帯電話の OS としては国内ではかなりのシェアを持っていました (現在は、Symbian、Linux、MS-Windows Mobile に置き変わっているそうです)。
MULTICS は、Unix 誕生の元となったプロジェクトの名前で、 多分 OS の歴史で耳にしたんでしょう。 Rockbox は携帯音楽プレーヤー用の OS (のようなもの) のようですし、 MonaOS (Mona) は、個人がインターネット上で協力を得ながら開発した フリーの OS のようです。 2ch で開発が進められたものとして話題になりましたし、 本も出ているようですね。
それから、上にも少し書きましたが、 Mac OS や MS-DOS の場合は、使ったことがある人でも バージョン番号を書いて分類している人はほとんどいませんでしたが、 MS-Windows 系の方はこと細かにバージョン番号が書かれていました。 中には MS-Windows とすら書かずに 単に「95, Xp」のようにバージョン番号のみ書いている人もいたくらいです。 これは、
MS-Windows 系 OS を答えた人の細かい内訳は以下のようになっています (割合は MS-Windows と答えた人の中の割合)。
厳密に言うと MS-Windows 3.1 以前の MS-Windows は、 OS ではなくグラフィカルユーザインターフェースを提供する MS-DOS 上の単独のアプリケーションでした。
色んなものが書かれていましたが、おおまかに分類してみました。 なお、なし/空白が 6 名 (12.0%) ありました。
上の意見にも上がっていますが、パソコンはまだ変化が激しく、 とても完成されたものだとは思えません。 今後も色々な改良が行われていくと思いますので 不満があって当然だと思います。 不満が見つかれば、それを解決すればいいものができる、 そうやって新しいものが作られていきます。 今後社会に出れば、身の回りにあるものの見方を変え、 新たな提案をする、改善策を考える、ということが要求されるだろうと思います。
コンピュータに関しても、好むと好まざるとに関わらず 今後数年間 (数十年間 ?) は間違いなく皆が使い続けるもので、 情報電子工学科の卒業生はその専門家と見られたり、 コンピュータの利用環境の改善、またはコンピュータ自身の改良などに たずさわることは十分に考えられます。 問題意識を持ってものを見る、 ということを大学にいるうちに勉強し身につける、 ということは大切なことだと思います。
皆さんも上にあげられている不満をヒント、あるいは格好の演習問題だと思って、 それらを改善する解決策を各々の問題に対してそれぞれ複数 (できれば 3 つ以上) 提案することを考えてみるといい勉強になると思います。
難しい/使うのに知識が必要/面倒、 といったことは、例えば自動車なども同じですし、 むしろだからこそコンピュータを勉強する意義があり、 詳しい人が活躍する場があるんだと思います。 現在の自動車は、乗るだけならだいぶ楽にはなりましたが、 それでもそれなりの一定の技能や知識、ルールの遵守が必要です。 皆さんは、さらに詳しい人、 自動車でいえば自動車整備士や自動車の設計士のようなものに なるのですから、 そのために勉強する必要があります。