情報電子工学概論 1 のアンケート no.4 (05/22 2006)


目次


はじめに

4 回目の講義で課したアンケート項目は以下のものでした。

  1. コンピュータに関してどういうことを勉強したいか
  2. コンピュータが今後どうなると良いと思うか
回答数は 64 名でした。

最初の質問は 1 回目のアンケートでも聞いた項目ですが、 この講義を通じてコンピュータに関する見方、考え方が変化したかも知れず、 この意見も変化しているかも、と思ってあらためて聞いてみました。


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集計結果


コンピュータに関してどういうことを勉強したいか

色んなものが書かれていましたが、おおまかに分類してみました (カッコ内の後ろの数字は 1 回目のアンケートの同回答の割合)。

前回に比べて、一般的な回答では小数の専門的、具体的な意見、 漠然とした回答ではコンピュータの概念に関する意見が増えています。 意見に専門性や具体性が出てきたこと、 また漠然としていた意見も前向きな意見に変わってきたことは、 それなりにこの講義や他の講義を通じて色々学生の考え方が 前進したことを意味しているかもしれません。

ネットワークという意見が 7 人から 3 人に減りましたが、 それは前回がネットワーク (インターネット) の話だったことも 影響していると思いますが、 逆に今回はプログラミングというテーマでしたが、 前回と今回でプログラミングと回答した人数に変化はありませんでしたから、 それは単純にテーマに引きずられているというよりも、 むしろ皆さんの意見が多様化してきたということを意味しているように思います。

例えば、前回は一人もなかった OS という意見が 6 人になっていますが、 この講義で多少その辺りに関心を持ってもらったなら まあよかったかな、と思います。 興味あることがあれば、自分の時間を利用して、 是非自分の好きなことを自分なりに勉強してみてもらいたいと思います。

例えば、OS に関心を持つ人向けに MS-Windows 以外の OS に触れる機会を 提供することも少し考えています。 詳しくは以下をご覧ください。


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コンピュータが今後どうなると良いと思うか

一人で複数回答しているものも多かったのですが、 それらもすべて数え上げました。大まかに分類して上げます。

より使いやすく、わかりやすく、あるいは誰でも使えるように、 という意見が最も多かったのですが、 それは、学生が現在のパソコン、多分 OS やアプリケーションソフトといった ソフトウェアの点でまだわかりやすくない、使いやすくない、 と感じていることを意味しているのだと思います。

しかし、私は現在の形の PC は、ある程度の使いにくさ、 わかりにくさの存在は必然で、 むしろちゃんと勉強しないと使えないものなんだ、 という認識が必要なのではないかと考えています。

例えばマウスや携帯電話の入力方式は初心者にも使いやすい 直観的なインターフェースですが、 それで大量の文字を入力するのは時間もかかるし効率的ではなく、 その点ではキーボードを使う方がいいでしょう。 現在の形の PC で何をするかといえば、 初心者的な作業ではなく、それなりにワープロや表計算、データ管理、 メールなどのソフトを使うわけですが、 それらはいずれも人間がある程度の量の文字入力を必要としていて、 それらをマウスや携帯電話の入力方式でやれ、と言われたら閉口するでしょう。 つまり、現在の形の PC は、多少の訓練を受けてキーボードを使いこなせるように なるべきものなのだと思います。

音声入出力、特に音声入力 (音声認識) の方は、 キーボードアレルギーの人などには良いインターフェースかも知れませんが、 入力するための音声が外にもれるので必ずしも良い点ばかりではなく、 むしろある程度制限された場所、 制限された用途でしか使えないのではないかと思います。 例えば、会社のオフィスで皆が机の上でコンピュータに向かって 話して作業をしていたらやかましくて仕事にならない、 ということも考えられます。

「悪用されにくい」というのも、インターネット犯罪が 当たり前になってきた現在では自然な発想だと思いますが、 コンピュータには善、悪の判断ができませんから、 便利になれば、それは悪用する人に取っても便利だということで、 諸刃の刃という仕組みを避けるのは難しいような気がします。 今のところは、ユーザ教育とソフトの仕組みによって「防衛する」ことを 行う程度なのではないかと思いますが、 新しい仕組みを提示できるとおもしろいかもしれませんね。

今回はプログラミング言語がテーマで、 数多くのプログラミング言語を上げて提示したので、 それに対する意見も出ていますが、 人間の使用する会話言語と同様に、 プログラミング言語はそれぞれの特徴と文化を持っていて、 それらを「統一する」よりも、 それぞれの特徴を尊重して必要なときに必要なものを利用する、 というのが正しいつきあい方なのではないかと思います。 私も、自分で書くプログラミング言語は C, AWK, Perl, C シェルスクリプト などを使いますし、読んで修正する程度ならば他の言語も使います。 一つのプログラミング言語を知っていると他の言語も勉強しやすくなりますし、 多くの言語を知っていると考え方が豊かになります。

ところで、OS として MS-Windows を使っていると、 あまり普段プログラミングを必要とすることはありません。 それは MS-Windows がそのような方向を意識しているからです。 初期のパソコンは、どんな作業をするのでも 自分でプログラムをしなければ使えませんでした。 しかし、それは初心者向けではない、として MS-Windows はそのようなことをしないで済む形に進化してきました。 しかし、逆にプログラミングしたい人、 ソフトを作る人には難しい環境になってきています。

Unix は MS-Windows よりも初心者には不便かもしれませんが、 そのため色んな工夫をユーザが考え、 自然にユーザがプログラミングを行い、またそれを行う環境がととのっています。 プログラミングを勉強したい人は Unix をどうぞ、 というのは私だけではなく色んな人が言っていますので、 特に OS に興味がある人は考えてみるといいでしょう。


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その他

講義の最後にも述べましたが、例年アンケートを見ていると

のような学生の意識が見られます。 今年の意見も同様だったのですが、 実際にはそれらはほんの一部に過ぎず 他にも色んな技術や理論があって実際に色んな場面で使われている ことを知ってもらいたい、 狭い分野の知識だけでなく、広い視野を持って物事を考えてもらいたい、 といったことを目標に講義を進めて来ました。 その目標がどれくらい達成できたかは知りませんが、 多少でもそういったことを意識してもらえれば 色々勉強して講義したかいがあったかなと思います。

また、今年も「なし」「わからない」という意見や 他人の意見、講義内容をそのまま写して書いているような意見も 多かったように思います。 今まで考えてみなかったことを見方を変えて考えてみる、 人に頼らずに自分で物を考える、 ということは工学を学ぶ者として、大学生としてとても大事なことだと思います。 そういうことができるようになってもらいたいと思います。


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作成日: 06/25 2006
竹野茂治@新潟工科大学 (shige@iee.niit.ac.jp)