情報電子工学概論 1 のアンケート no.3 (07/08 2002)


目次


はじめに

3 回目の講義で課したアンケート項目は以下のものでした。

  1. 今後、人間とコンピュータの間の接点に、 どのようなインターフェースが期待されるか
  2. どんなソフトがあればいいと思うか
回答数は 83 名でした。 ただし、そのうち 4 名はほとんど何も書いてなかったので回答から除いて 79 名とします。


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集計結果


期待されるインターフェース

かなり色んなものが現われたので、ややまとめにくいですが、 多少分類してみます (':' の後ろの数字は回答数)。

こういう質問は、むしろコンピュータの可能性に関して多少知っていて 常識に因われている我々のようなものからは、あまりいい発想が出て来なくて、 まだ固定観念に因われていない皆さんのような世代の意見から 思いも寄らない良いものが出て来るもの田と思います。

ある程度期待通り、現在まだ実現していないインターフェース、 荒唐無稽なもの、夢のあるものなどが出て来ました。 ただ、多少講義の内容を反映したものなどが見られるようですが、 もう少し自由に発想してもらいたかった、と感じます。

音声認識による入力方法は昔から研究されていて、 最近はパソコン用の音声認識ソフトも安価に売られるようになって来ました。 まだ認識率はそれほど高くはないようですが、 入力補助としてはある程度使えるものになっているようです。

ただ、音声入力はどこでも使う、というわけにはいきませんよね。 それに、ワープロのように文書作成だけならいいでしょうが、 OS に関する作業にも使おうとすると、現在の OS の構造では 割と使いにくいんではないかと思います。

音声合成による音声出力も昔からある技術で、ホームでの電車の案内、 時報等で使われていますが、 最近はパソコン上でのメールの読み上げなどにも使われているようです。

ただし、音声はあくまで補助的なもので、視覚情報をすべて音声で置き換えて 音声ガイドのみで汎用のコンピュータを利用するのはかなり難しいように思います。

キーボードの簡略化も色々考察されていて、 少ないキーでどのようにすればフルキーボードと同程度の量の入力が可能か、 現在でも研究されているようです。 携帯電話のインターフェースもそれなりにいいとは思いますが、 フルキーボードに比べるとまだはるかに時間がかかるでしょう。

タッチパネルは、銀行の ATM などで実際に使われていますが、 階層型メニュー形式のインターフェースをうまく使えば それなりにいいものになると思います (問題はカスタマイズでしょうか)。 タッチパネル式ディスプレイの入出力の解像度がもっと上がり 紙のノートに匹敵するくらいになれば、 コンピュータの使われ方もかなり代わるんじゃないかと思いますが、 それも近いうちに実現されるかも知れません。

思考をそのままコンピュータに伝える、という意見がかなりありましたが、 思考から実際に伝わるまでのタイムラグが気になるのでしょうか、 それともキーボードを使いたくない、ということでしょうか。 しかし私は、考えたことがそのままデジタルデータとなって 保存されるような機械には決して触りたくないですね (^^) AI 型も、昔から研究されている分野ですが、今はどうなっているのでしょうか。

視線を感知、マイコンを体に埋める、体温を感知、といったものは 「生体情報工学」という分野で盛んに研究されているようで、 うちの学科にもそのような分野を研究されている先生方がおられます。

3D 出力、3D 入力のような画像処理が主となる処理は、 むしろ光コンピュータの得意とする分野のようですが、 もちろん現在のコンピュータ上でも実現すれば色々おもしろいように思います。 果してどのような仕組み、どのような形状のインターフェース装置となるのか、 具体的に考えてみるのもおもしろそうですね。

ユーザが欲する情報のみを出力する、ってのはどういうことでしょうか。 やはり人間の思考がそのままコンピュータに伝わる、という状況を 考えているのでしょうか。 また「手をコンピュータの使いたい場所に置くだけで動作」というのは どういうことでしょうか。タッチパネル式、ということでしょうか、 それとも各周辺装置にセンサーをつける、ということでしょうか。 残念ながらよくわかりませんでした (想像力がついていけませんでした)。

また、その他の意見として「人間側の進歩で解決」というのはなんでしょうか。 人間は医学的に数千年間そう進化していないように思います。 そして、人間の運動能力は年を取れば自然と衰えていきます。 「人間側」の進歩は私はあまり期待できないと思うのですが、 これも単に私の想像力がついていっていないだけなのでしょうか。


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どんなソフトがあればいいか

こちらもかなり色んなものが出て来ました。 どう分類したらいいか良く分かりませんが、適当に分類してみます。

現在ありそうなものやすぐにも実現可能そうなものなどもありますが、 色々な発想のものが自由に現われて非常に面白いですね。

何故か翻訳ソフトに意見が集中しましたが、 これは普段英語のホームページなどで悩まされているということでしょうか。 それとも、英語は出来ないけれど海外には行ってみたい、 ということの表れでしょうか。

「動物の言葉を理解」という意見に体しては、 私は専門家でないので良くは知りませんが、その前に 「動物が言葉を使っているのか」ということが まだ明確には知られていないのではないでしょうか。 「動物が言葉を使っている」ということが明らかにならなければ 「動物の言葉を理解」することは、いかにコンピュータでも出来ませんよね。 夢がないようですが、動物の言語に関する知能の程度を 全ての人に明らかにするような道具は、動物を卑下することにつながる危険性が あるようにも思います。

「完全な日本語入力」と「高性能な音声認識」は、 多分どちらも同じような所に問題を抱えていると思います。 そもそも人間でも、そして原理的にも「完全な」日本語入力や音声認識は どうしても無理な部分があるのではないでしょうか。 ある程度は対話的に補うしかないだろうと思いますがいかがでしょう。

話が出来る、というのは AI (= 人工知能) という話でしょうか。 AI は古くからある研究の一つですが、 ちゃんとした AI というのは今でも難しいようです。 しかし、アイボというロボット同様、「AI 風」のソフトならあるようですし、 作ることもそう難しくはないんじゃないでしょうか。

図が速く簡単に書けるもの、というのはどういうものならそうできると思いますか。 私は頭が硬いので、誰もが考え付くようなことしか思いつきませんが、 もしそれが独創的なアイディアで、それを形にできるならば おもしろいものになるんじゃないかと思います。

「声でメールを」というのは留守番電話とどう違うんでしょう。

意外に学習ソフトは複数意見が出ました。中には大学の学習ソフト、 という意見もありましたが、何故教育ソフトだと勉強できて、 通常の講義では勉強できないのか、ということを洗い出してみると、 どこに問題があるかが見えて来るんではないでしょうか。

様々な実験ソフト、というのはおもしろそうですね。 具体的にどのような実験をしてくれるのでしょうか。

「自動的にアップグレード」というのはおもしろいかもしれませんが、 「自動」というところにややセキュリティの問題を含んでいるような気もします。 一つの安直な手法に頼るとそれにより出る被害はより大きくなる、 というのはよくあることです。

ウィルスを滅亡、というのも良さそうにも思います、 もしそれが、自動的にネットワーク上に広まってウィルスを退治する、 とかいう代物だとすると、それ自身ある意味で「コンピュータウィルス」 ではないかと思います。

「思考を読み取るもの」は にも書いたように私は使いたいとは思いません。 「融通がきく」というのは、現在の通常のコンピュータアーキテクチャでは 難しいでしょうが、ファジィコンピュータなら可能かも知れません (もちろん良くは知りません)。

「どのような行動を取れば」は、今後携帯コンピュータが人間の機能 (記憶、計算、運動、通信、表現) を補うように進化すれば そのようになるかもしれません。 「日本語をプログラムに」というのはよくわかりませんが、 「日本語でプログラミングが出来る」コンピュータ言語ならあります (例えば Mind)。 「プログラムの実演」というのはエミュレーションのことでしょうか。 そういうものも に書いたように多少あります。

「ソフトが簡単に作れるソフト」は程度にもよりますがあるといえばあります。 logo や Smalltalk, Squeak (もしかしたら BASIC も) などは 元々子供でもプログラムが書けるように作られたものらしいです。

「自動的にプログラムを生成」というのは何か深い (難しい ?) ような気がしますが、 「ソフトを使わなくていいソフト」というのは、 そのソフト自身も「使わなくていい」のでしょうか。

「栄養バランス」ソフトなんかはありそうですね (私も欲しい)。 色んな圧縮方法に対応した圧縮解凍ソフトもありそうですし、 なくても作れそうな気がします (けど必要ですか ?)。 「世界の国の情報」って、今の WWW ブラウザのことでしょうか。 「一度に複数のページを見る」って、普通の WWW ブラウザでできませんか ? 世界地図は多分ないでしょうが (政治的に作れなさそう)、 日本地図ならかなり細かいところまで見れるものがありますね。

他の OS をエミュレートする OS はあります。 それと似たもので、最近流行っているものに VMware というものがあります。 これを使うと Linux 上で MS-Windows を動かして、 そちらのアプリケーションを実行できるそうです (かなりのマシンスペックは必要なようですが)。 ただ、複数の OS を使うことができる、というのはいいことだと思いますが、 自分のマシンで複数の OS を使わないといけない状態というのは あまりいい状態ではないことだと思います。

情報をすぐに提供するものってどういう形のものでしょう。 また「設定を自動で行なってくれる」は、よくわかりませんが、 「設定」はカスタマイズしていじれるところがいいんじゃないんでしょうか。 ただ、確かに自動でやってもらいたい設定もありますし、 適当に調べてそれくらいやってくれないかな、と思うことはありますね。


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その他

その他何かあれば自由に書いてください、ということでしたが、 そろそろ授業に対する意見は飽きてきたようで ほとんど書いてありませんでしたが、

という意見がありました。

私は元々冷房はあまり好きではないので最初から切りたいくらいですが、 それは学生にとっては迷惑でしょうから、私は防寒具として白衣を来ています。 そして教壇に立って話していると、実はどれくらい寒いのか良く分かりません。 学生の反応を見ろ、ということも書いてありましたが、 それも講義の話す内容のことを主に考えているので、やはり良く分かりません。

よって、寒いので止めてもらいたいならば、申し訳ないですが、 自分で止めに行くか、または私に言ってくれませんか。 また、冷房が寒いと感じることが多いようなら、 上着を用意する等のそれなりの対策を取るべきだろうと思います。

URL は、これを見ているのなら教える必要はないですね。それに 大学のホームページ から適当に探せば見つかるでしょう。

MacOS は、OS として「素晴らしい」ものだと思います。 私が講義中に言ったのは OS のことではなく、 MS-Windows が動くのは「普通」のパソコンだ、といったのです。 正確には MS-Windows が動くのは

Intel の Pentium シリーズ、及びそれと互換性のある CPU (及び、一部の他のアーキテクチャの CPU) と、 MS-Windows がサポートしている周辺機器から成るパソコン
ということになりますが、 現在市販されている大半のパソコンはこの形式に沿っていて、 違うのは Macintosh のパソコン位でしょう。 そんなに詳しくは知りませんが、市場のシェアは Macintosh のパソコンよりも MS-Windows の動くパソコンの方がはるかに多く、 よって「普通」のパソコンと言っていいのではないでしょうか。 別に Macintosh が「異常」だと言っているのではありません。 「まれ」だ、といっているのです。

アルファベットは、前回も筆記体が読みにくい、という意見がありました。 なるべく丁寧に大きく書こうと思います。 しかし、小さいと思うならもう少し前に座ったらいかがでしょう。

私も「内藤君はスゴイ」と思います。 私が大学 1 年生のときはコンピュータなんて全くできませんでし、 ほとんど何も知りませんでしたから。 ついでに一緒に話の内容を考えてくれた、Linux 同好会代表の 「岡田君もスゴイ」としておきましょう。 本当はスゴイ、という学生はもしかしたらあちこちにいるのではないでしょうか (とすると「スゴイ」ことではなくなるのかな ?)。

ただ、例えば皆の前で堂々と説明をする、ということに関しては、 大人社会である大学では「当り前」のことです。 それくらいはできるようになりましょう。


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作成日: 07/08 2002
竹野茂治@新潟工科大学 (shige@iee.niit.ac.jp)