2 独立性

前提は、 $x_1,\ldots,x_n\sim N(\mu,\sigma^2)$ で独立である、 ということだが、[2],[4] で示したことにより、
$\displaystyle A = \left[\begin{array}{c}\vec{\alpha}_1\\ \vdots\\ \vec{\alpha}_...
..._{n-1,1}&\cdots&a_{n-1,n}\\
1/\sqrt{n} &\cdots &1/\sqrt{n}\end{array}\right]
$
が直交行列であれば
$\displaystyle u_1=\vec{\alpha}_1\vec{x},\ldots,u_{n-1}=\vec{\alpha}_{n-1}\vec{x...
...left(\vec{x}=\left[\begin{array}{c}x_1\\ \vdots\\ x_n\end{array}\right]\right)
$
は独立であることがわかる。そして、これを用いると、 [4] で示したことにより、$u,v$
  $\displaystyle
\left\{\begin{array}{ll}
u &= \displaystyle \sqrt{\frac{n}{\sig...
...pha}_i\vec{x})^2
= \frac{1}{\sigma^2}\sum_{i=1}^{n-1}u_i^2
\end{array}\right.$ (4)
と変形できる。 $u_1,\ldots,u_n$ は独立なので、あとは一般に、
$\displaystyle X=f(u_1,\ldots,u_k),\hspace{1zw}Y=g(u_{k+1},\ldots,u_n)
$
のように $u_j$ が共通に含まれない関数から作られる確率変数が 独立であることを示せばよい。 今の場合、 $u_j\sim N(\mu,\sigma^2)$ なので、その密度関数を $g(u)$ とすると、
\begin{eqnarray*}\lefteqn{\mathrm{Prob}\{X\leq t,\hspace{0.5zw}Y\leq s\}
\ =\
...
...ts du_n
\\ &=&
\mathrm{Prob}\{X\leq t\}\mathrm{Prob}\{Y\leq s\}\end{eqnarray*}
となるので、独立となる。

なお、この最後の独立性の部分は、$u_j$ の密度関数が共通でなくても言えるし、 $X,Y$ 2 つでなくても、共通に $u_j$ が含まれない変数のグループの関数で 作られる確率変数同士についても成立する。

竹野茂治@新潟工科大学
2022-08-25