この演習に関する質問と回答をここに上げておくことにします。
なお、ここの回答は原則竹野による回答です。
(10/01 2018)
前期基礎数理 I(a) の演習との違いは、以下の通りです。 なお、以下はあくまで「基礎数理 II(a)」の話です。
3 ページ目の問題も含め、演習問題と正答例はすべて
基礎数理 II(a) 演習の Web ページ
で公開していますので、必要ならそちらからダウンロードしてください。
(10/19 2017, 回答: 竹野)
一応それぞれどこまで終わったかもだいたいチェックはしていますが、 基本的にそれは確認のためであり、 例えば 1 ページ目までしか終わってない人と 2 ページ目まで終わった人で 演習の点数に差をつけているわけではありません。
なお、3 ページ目が終われば、講義の点数に加点しますが、
演習の点数とは関係ありません。
(10/19 2017, 回答: 竹野)
一般に、関数 y = f(x) とその逆関数 x = f-1(y) には、
f-1(f(x)) = x, f(f-1(y)) = yの関係が成り立ちます。
ところが、x = tan-1 y は、 厳密に言えば y = tan x の逆関数ではなく、 正しくは「y = tan x (-π/2 < x < π/2)」の逆関数です。 すなわち、その x の範囲には制限があります。
よって、-π/2 < x < π/2 ならばもちろん tan-1(tan x) = x が成り立ちますが、 その外の x に対してはこれは成り立ちません。
正しくは、tan 2π/3 = tan(2π/3 - π) = tan(-π/3) より、
tan-1(tan 4π/3) = tan-1(tan(-π/3)) = -π/3となります。一般に、「tan-1(tan x) = x + nπ」 (n は、-π/2 < x + nπ < π/2 となる整数) となります。
逆に、tan(tan-1 y) = y の方は、常に成り立ちます。
もしよければ、同様に、
sin-1(sin x),
sin(sin-1 y),
cos-1(cos x),
cos(cos-1 y)
がどうなるか考えてみてください
(実は、こちらの方が tan より少し厄介)。
(12/21 2017, 回答: 竹野)
この問題は、以下のような問題でした。
「p=limx→2((x2+ax+1)/(x-2)) が有限な値のとき、 a, p の値を求めよ。」実は、「分子 → 0 とすると」のところの理屈を説明するのは 多分苦手であろうと思って、 それを回避する解き方のヒントを書いておいたのですが、 そのように解いた人はほとんどいませんでした。
多くの学生が a を求める手順として、
「分子に 2 を代入して 4+2a+1=0 より a=-5/2」のように書いていましたが、これでは不十分です。 つまりこれだと「分子 → 0」となる理由、 すなわち、分子に 2 を代入して 0 となる理由が不明瞭です。
この問題は、 実は「p が有限な値のとき」という条件がついていなければ 解は一つに決まりません。 その場合、a はなんでもよいことになり、 それによって p も有限になったり無限になったりします。 つまり、a の値が決まるのは、 「p が有限な値のとき」という条件から決まるわけです。 「p が有限な値」だから「分子 → 0」となるところを 本来は説明する必要があり、 採点者はそこがちゃんと説明できているかを見て採点するわけです。 よって、「p が有限な値」であることを利用していない答案は、 本来はすべておかしいことになります。
少なくとも
「p が有限だから分子→ 0 となるはず。 よって分子に 2 を代入すると 4+2a+1=0 となり ...」のように書くのが正しい答案だと思います。 善意に解釈すれば、この前半部分は頭の中で済ませていて、 後半の部分のみを答案に書いた、と見れなくもないですが、 そういうことなのか、それともそうではないのかは、 採点者はその答案から読みとることはできません。 答案には、頭の中の理屈をちゃんと書き出す必要があります。
中には、
「ロピタルの定理を使うために分子→ 0 とすると」と書いた人もいましたが、ロピタルの定理を使えるのは あくまで 0/0 の形であること分かった「後」の話であり、 ロピタルの定理以前にそれが 0/0 であることを確認する必要があります。 だから、「分子→ 0」としてよい理由が不十分なのは上と同じレベルです。 「p が有限な値」から「分子 → 0」となることを 説明する必要があります。
また、
「分子→ 0 とすると確かに a が一つ求まり、 その後ロピタルの定理を使えば有限な p もちゃんと求まる」という形ではいけないのか、という人もいましたが、 それだとなぜ「分子→ 0」としたのかという理由 (必然性) がありません。 つまり、「分子→ 0」の場合だけしか調べていないことになり、 他の a, p の組が存在する可能性が残ることになります。 だから、「分子→ 0」として a を求めた後で、
「それ以外の a の場合は、分子→ 0 とはならず、 よって p は有限にならないから不適切」と書いておくのであれば、その他の場合もちゃんと調べていることになるので、 それで正しい答案になります。
問題を解くときは、正しい論理で解かないと、正しい結論は得られませんし、
相手を正しく説得することはできません。
この問題の理屈はそれほど難しい論理だとは思いませんので、
これくらいの論証は正しく行えるようになってもらいたいと思います。
(10/05 2018, 回答: 竹野)
以下の回答はあくまで「竹野」の回答です。 冨澤先生が担当する演習の学生は、冨澤先生に聞いてください。
1 から分からないという場合は、 時間的な制約からどうせその場で教えることは不可能なので、 質問されても答えられません。 質問も悪くはないですが、それよりも採点を優先しますし、 間違えている答案には、持ってきたときにその場で教えていますので、 とりあえず間違いでもいいので、 まずは自分で考えた答案を終わらせてから持ってきてください。
中には、隣の人のものを見たり、 自分達で答合わせをした答案を持ってくる学生もいるようですが、 それは「損」です。以下はどちらが正しいでしょうか。
試験のときは他人の答案を見るわけにはいかなくて、 自分で考えた答案を書きます。 その際、自分の考え方のどういうところが間違いであるのかを 演習の際に教員に見てもらって指摘してもらうのが「得」ではないでしょうか。 そうすることで、自分の考え方の間違いや、 自分の答案の書き方の癖や間違いなどを指摘してもらえ、 本番の試験のために役立つからです。
他人のものを見て正しいものを書き写してしまうと、 本来自分の持つ間違いなどが失われてしまいます。 それでいいなら、演習は意味がなく、 最初にプリントと正答例を一緒に配って終わり、 でいいことになってしまいます。
間違った答案を見てもらうことが恥ずかしかったり、 やり直しをさせられるのがいやなのかもしれませんが、 むしろそうすることで自分の間違いや、 正しい書き方、正しい計算が記憶に強く残りやすくなるのです。
部活動などでも、 技能を身につけるために普段の練習は失敗を繰り返して、 その失敗の原因などを正しく指摘してもらって向上を目指していると思います。 誰かに練習を代わってもらっても、 本番の大会で成功する技能は身につきません。 演習と試験の関係もそれと同じです。
演習で、答案が全部正解で○だけつけられて説明されることがほとんどないのと、
色々間違いが指摘されることでは、
どちらが得られる情報が大きいか、どちらが自分のためになるかは、
明らかです。
(10/11 2018, 10/12 2018, 回答: 竹野)
テイラー展開は、主に近似計算に使います。 例えば sin x の値がちゃんと誤差なく求まるのは限られた角だけですが、 工学ではそれ以外の中途半端な角に対する計算も当然必要です。 それらは関数電卓を使えば計算できるわけですが、 関数電卓の内部には三角関数表が入っているわけではなく、 表示が 10 桁であれば、その精度の値を表示すればいいので、 その精度を保証する「テイラー展開による多項式の計算」が行われています。 多項式の計算なら、四則演算だけで計算ができます。
具体的な数値の計算だけでなく、
工学では少し複雑な数式をテイラー展開を使って易しい近似式に直してから
その式で計算を進める、ということがよくあります。
非常に重要な道具の一つです。
(10/11 2018, 回答: 竹野)
以下の回答はあくまで「竹野」の回答です。
「さっきの答案と同じ」という場合は、 ほぼ「さきほど隣の人が持ってきた答案と同じ」という意味です。 だから、「それに対する説明はその隣の人にすでにしてあるので、 その人に聞いてくれ」、という意味も含まれます。
質問用紙にはさらに、
「同じ式、同じ答が出るのは数学なら当たり前では」と書いてありましたが、それは間違いです。
我々は数学の答案の答だけを見ているわけではなく、 むしろ「途中の計算の仕方」を見ています。 途中の計算の仕方は、たいていの問題で一つではなく複数あります。 その複数ある計算の仕方のうち、 「出現率が低い計算の仕方」が隣り合う 2 人の答案に現れたとしたら、 多分それは一方が一方のものを写したと考えるのが自然でしょう。 「Q.6. 分からないことは演習中教員に質問してよいのか」にも書きましたが、 私はそういうのはあまり意味がないと考えます。
特に今回はそれが 2 枚目の問題で起こりましたが、 2 枚目の問題は自分で考えてこその問題です。 わからなくても自分で悩んで考えるべきものです。
大学の講義で最も優先されるべきは「勉強したい人」で、 その人の邪魔をする行為が最もいけない行為です。 「授業に関係あることだったが」と書いてありましたが、 演習中の相談は構わないとしていますが、 談笑を許しているわけではありません。 関係があることであっても、演習中に大声で笑ったり、 騒がしくしたりすることは許されません。 そういうことがしたいなら、演習に出てこないでください。
勉強する雰囲気を維持するため、 騒がしくする行為は、これからも厳重に注意します。 「キれた態度で接するな」などとも書いてありましたが、 なぜそういう注意を受けたかを考えてみてください。
中学、高校では「子供だから」と大目に見られたかもしれませんが、
大学は大人社会です。
モラルをわきまえなければそれなりの注意がくるのは当然のことです。
図書館や映画館で大声で話をしていれば、
いくら客であってもつまみだされるでしょう。
それと同じです。
(10/12 2018, 回答: 竹野)
私は正答で解き方に問題がなければ何も言いませんが、 間違いについては指摘しているつもりです。 もし説明してなかったとしたら、どうもすみません。
その場合は間違いを指摘し忘れている可能性もありますから、
それは私に聞いてください。
または、「さっききた隣の人と同じ」と言ってるかもしれませんが、
それについては
「Q.8. さっきの答案と同じと言われたが、どういう意味か」
を参照してください。
または、時間がないので、最後に解説のときに説明する、
というつもりだったかもしれません。
(10/18 2018, 回答: 竹野)
当然構いません。
(11/20 2018, 回答: 竹野)
部分積分の公式は、積の微分の公式
(fg)' = fg ' + f 'gから来ています。この両辺を積分すると
fg + C = ∫fg 'dx + ∫f 'gdxとなりますが、この右辺の第 2 項を左辺に移項したものが部分積分の公式です。
なお、C は不定積分の式に潜りこませて消しています。
(11/20 2018, 回答: 竹野)
私 (竹野) はテストに関しては採点者ではないので、 一般的なことしか言えませんが、 大学の講義のテストは、 「その講義で教えたことが身についているか」「修得できているか」 を計るもので、 採点者は答えだけを見て判断するわけではありません。
よって、
「講義で教えたこととは違う手段で問題を問いている答案」は、
数学に限らず、減点される可能性があることを知っておくべきです。
(11/20 2018, 回答: 竹野)
当然です。
質問者は勘違いしているようですが、 私がほぼ毎回のように「かっこが書いてない」と多くの学生に指摘しているのは、
「マイナスの前に何かあるときは」かっこを書かなければいけないという点です。マイナスの前に何もなければ当然かっこは必要ありません。
「−」の記号には 2 つの使われ方があり、 「-A」と書いたらそれは「符号のマイナス」を意味し、 「A-B」と書いたらそれは「引き算」を意味することになっています。 よって、「符号のマイナス」を意味する記号として「−」を使う場合は、 その前に何かがついているときは、 「(-A)」としないと引き算の意味になってしまい、正しく伝わりません。
例えば、多くの学生が、
5x・-3、 ∫-4xdx、 lim -5x(本来は lim の下にも何かを書くが今は省略) のように書いたりしていますが、これらはいずれも引き算に見えてしまうので、 正しくは
5x・(-3)、 ∫(-4x)dx, lim(-5x)と書かなければいけません。
また、積や商は和や差よりも優先順位が上なので、 積分の中などに和や差がある場合も
∫5x+4dx、 lim 7+5xではなく、
∫(5x+4)dx、 lim(7+5x)とかっこを書く必要があります。 そうでないと、例えば最初の式は「∫×5x と 4×dx の足し算」 という意味になってしまいます。
今の仕組みでは仕方がないです。待っていてください。
なお、早く終わる学生を優先するつもりはなく、
むしろできてないところの指導を優先したいと思っています。
(11/20 2018, 回答: 竹野)
半分は性分です。そういうものだと思ってください。
半分は静音な演習環境を維持するためのものです。
(11/20 2018, 回答: 竹野)