95.21 格子状データ処理 (dgrid3d)

コマンド set dgrid3d は、非格子状データから格子状データへの写像機能を 有効にし、そのためのパラメータを設定します。格子状データの構造について の詳細は、以下参照: splot grid_data (p. [*])

書式:

     set dgrid3d {<rows>} {,{<cols>}}
                 { splines |
                   qnorm {<norm>} |
                   (gauss | cauchy | exp | box | hann)
                     {kdensity} {<dx>} {,<dy>} }
     unset dgrid3d
     show dgrid3d

デフォルトでは dgrid3d は無効になっています。有効になると、ファイル から読み込まれる 3 次元のデータは「散在した」データ (非格子状データ) であると見なされます。格子は、グラフと等高線の描画のために、散在したデ ータを囲む矩形から得られる寸法と、row_size/col_size で指定される数の行 と列を持つように生成されます。格子は x 方向 (行) と y 方向 (列) に等間 隔です。z の値は散在するデータの z の値の重み付きの平均、またはスプラ イン補間として計算されます。言い変えれば、規則的な間隔の格子が生成され、 全ての格子点で元のデータの滑かな近似値が評価されます。元のデータの代わ りにこの近似値が描画されます。

デフォルトの列の数は行の数に等しく、そのデフォルトの値は 10 です。

元のデータから近似値を計算するためのいくつかのアルゴリズムが用意されて いて、追加のパラメータを指定できるものもあります。これらの補間は、格子 点に近いデータ点ほど、その格子点に対してより強い影響を与えます。

splines アルゴリズムは、"薄いつぎ板" を元にした補間計算を行います。 これは追加パラメータを取りません。

qnorm アルゴリズムは各格子点で入力データの重み付き平均を計算します。 各点は格子点からの距離の norm 乗の逆数で重み付けされます。(実際には、 dx, dy を各データ点と格子点との差の成分であるとすると、重みは dx^norm + dy^norm で与えられます。2 のべきのノルム、特に 4, 8, 16 に関しては、 その重みの計算はユークリッド距離を使うことで (dx^2+dy^2)^norm/2 のよう に最適化されてますが、任意の負でない整数を使うことも可能です。) ノルム のべきの値をただ一つの追加パラメータとして指定できます。このアルゴリズ ムがデフォルトになっています。

最後に、重み付き平均の計算用に、いくつかの平滑化重み付け関数 (kernel) が用意されています: z = Sum_i w(d_i) * z_i / Sum_i w(d_i), ここで z_i は i 番目のデータの値で、d_i は現在の格子点と i 番目のデータ点の位置と の距離です。すべての重み付け関数が、現在の格子点に近い方のデータ点には 大きな重み、遠い方のデータ点には小さい重みを付けます。

以下の重み付け関数が使用できます:

     gauss :     w(d) = exp(-d*d)
     cauchy :    w(d) = 1/(1 + d*d)
     exp :       w(d) = exp(-d)
     box :       w(d) = 1                     d<1 の場合
                      = 0                     その他
     hann :      w(d) = 0.5*(1-cos(2*pi*d))   d<1 の場合
                 w(d) = 0                     その他

これら 5 つの平滑化重み付け関数のうち一つを使用する場合、2 つまでの追 加パラメータ dx と dy を指定できます。これらは、距離の計算時に座標の違 いをスケール変換するのに使えます: d_i = sqrt( ((x-x_i)/dx)**2 + ((y-y_i)/dy)**2 ), ここで、x,y は現在の 格子点の座標で、x_i,y_i は i 番目のデータ点の座標です。dy のデフォルト の値は dx で、そのデフォルトの値は 1 になっています。パラメータ dx と dy は、データ点が格子点へ「データそれ自身の単位で」の寄与を行う範囲の 制御を可能にします。

オプションキーワード kdensity は、重み付け関数名の後ろで (オプション の) スケール変換のパラメータの前に置くもので、これはアルゴリズムを変更 して、格子点用に計算する値を重みの和 ( z = Sum_i w(d_i) * z_i ) では割 らないようにします。z_i がすべて定数の場合、これは事実上 2 変数の重み 付け評価を描画します: (上の 5 つのうちの一つの) 重み付け関数が各データ 点に置かれ、それらの重みの和がすべての格子点で評価され、そして元のデー タの代わりにこの滑らかな曲面が描画されます。これは、1 次元のデータ集合 に対する smooth kdensity オプションが行うこととおおまかには同じです (使用例は kdensity2d.dem を参照してください)。

後方互換性のために、わずかに異なる書式もサポートされています。どのアル ゴリズムも明示的に選択しなかった場合、qnorm アルゴリズムが仮定され、 3 つ以下の、コンマ (,) 区切りのオプションパラメータを指定した場合は、 それらをそれぞれ行数、列数、そして norm 値であると解釈します。

オプション dgrid3d は、散在するデータを重み付き平均で規則的な格子に 置き変える単純な仕組みに過ぎません。この問題に対するより洗練された手法 が存在しますので、この単純な方法が不十分であれば、gnuplot の外でその ような方法でデータを前処理するべきでしょう。

以下も参照 dgrid3d.dem: dgrid3d のデモ

および scatter.dem: dgrid3d のデモ

竹野茂治@新潟工科大学
2019-12-04