95.48 Minussign

gnuplot はほとんどの書式付き入力は C 言語のライブラリルーチンである sprintf() で処理します。しかし、gnuplot には独自の書式化ルーチン gprintf() もあり、それは軸の刻み文字列の生成に使われています。C のラ イブラリルーチンは、-7 のような負の数の表示には常にハイフン文字 (ASCII \ 055) を使用しますが、むしろその目的では、それとは異なる印字用のマイナ ス符号文字 (Unicode U+2212) を使い −7 のように表示したいと多くの人々 は思うでしょう (訳注: 原文では '7' の前は Unicode の「マイナス記号」が 使われているが、ここでは JIS の全角マイナス記号 245D を用いた)。コマン ド


    set minussign

は、gprintf() の数字の出力に、ハイフンの代わりにマイナス符号文字を使用 するよう指示します。UTF-8 ロケールではそれは Unicode U+2212 に対応する マルチバイト文字列になり、Window コードページ 1252 ロケールでは、これ は 8 ビット文字の ALT+150 ("en dash") になります。コマンド set minussign は、軸の刻みのラベルと、gprintf を明示的に呼び出して生 成された文字列に影響を与えますが、その他の場合のハイフンを含む文字列に は何ら影響を与えません。以下参照: gprintf (95.27.1)

LaTeX は、それ自身が負の符号を自前で処理する仕組みを持っているため、こ のコマンドは、LaTeX 系の出力形式を使用している場合は無視されることに注 意してください。postscript 出力形式を使用する場合も、gnuplot の postscript 用前処理ルーチンが ascii のハイフンコード \ 055 を minus という名前の異なる文字に変換するので、このコマンドは必要はありません。

このコマンドは試験段階のもので、制限がありますし、仕様の細かい部分は変 更する可能性があります。

例 (utf8 ロケールを仮定):


    set minus
    A = -5
    print "A = ",A                 # ハイフンを含む文字列を出力
    print gprintf("A = %g",A)      # U+2212 文字を含む文字列を出力
    set label "V = -5"             # ハイフンを含むラベル
    set label sprintf("V = %g",-5) # ハイフンを含むラベル
    set label gprintf("V = %g",-5) # U+2212 を含むラベル

竹野茂治@新潟工科大学
2017年10月31日