分散 = 総計である数え上げ統計学同様、母集団の標準偏差が定数でない場合、 各点は観測される偏差の和と期待される偏差の和を比較するときに個別に重み づけされるべきです。
最終段階で fit は 'stdfit'、すなわち残差の RMS (自乗平均平方根) で求
められる当てはめの標準偏差と、データ点が重みづけられている場合に '減ら
されたχ自乗' とも呼ばれる残差の分散をレポートします。自由度 (データ点
の数から当てはめパラメータの数を引いたもの) はこれらの評価で使用されま
す。なぜなら、データ点の残差の計算で使われるパラメータは同じデータから
得られるものだからです。データ点が重みを持つ場合、gnuplot はいわゆる
p-値を計算します。それはその自由度と結果のχ自乗値に対するχ自乗分布の
累積分布関数値を 1 から引いた値です。以下参照: practical_guidelines (68.3.2)。
これらの値は以下の変数に代入されます:
FIT_NDF = 自由度の数 FIT_WSSR = 重みつき残差の自乗和 FIT_STDFIT = sqrt(WSSR/NDF) FIT_P = p-値
パラメータに関する信頼レベルを評価することで、当てはめから得られる最小 のχ自乗と、要求する信頼レベルのχ自乗の値を決定するためのχ自乗の統計 を用いることが出来ます。しかし、そのような値を生成するパラメータの組を 決定するには、相当のさらなる計算が必要となるでしょう。
fit は信頼区間の決定よりむしろ、最後の反復後の分散-共分散行列から直 ちに得られるパラメータの誤差評価を報告します。これらの評価は、標準偏差 として計算される量の指定に関する統計上の条件が、一般には非線形最小自乗 問題では保証されないのですが、線形最小自乗問題での標準誤差 (各パラメー タの標準偏差) と同じ方法で計算されます。そしてそのため慣例により、これ らは "標準誤差" とか "漸近標準誤差" と呼ばれています。漸近標準誤差は一 般に楽観過ぎ、信頼レベルの決定には使うべきではありませんが、定性的な指 標としては役に立つでしょう。
最終的な解は、解の範囲におけるパラメータの相関を示す相関行列も生成しま す: その主対角要素、すなわち自己相関は常に 1 で、全てのパラメータが独 立ならば非対角要素はすべて 0 に近い値になります。完全に他を補いあう 2 つの変数は、大きさが 1 で、関係が正の相関か負の相関かによって正か負に なる符号を持つ非対角要素を持ちます。非対角要素の大きさが小さいほど、各 パラメータの標準偏差の評価は、漸近標準誤差に近くなります。
竹野茂治@新潟工科大学