2 はじめに (Introduction)

gnuplot は、ポータブルなコマンド入力方式のグラフユーティリティで、 Linux, OS/2, MS Windows, OSX, VMS, その他多くのプラットホーム上で動作 します。ソースコードには著作権がありますが、無料で配布されています (す なわち、それに対価を支払う必要はありません)。元は、科学者や学生が数学 関数やデータなどを対話的に表示できるよう作られたのですが、現在までに、 例えば Web スクリプトなど、多くの非対話型の利用もサポートするように成 長しています。これは、例えば Octave のようにサードパーティのアプリケー ションの描画エンジンとしても使われています。gnuplot は、1986 よりサポ ートと活発な開発が行われています。

gnuplot は、2 次元、または 3 次元の、多くの種類のグラフをサポートして います: 折線グラフ、点グラフ、棒グラフ、等高線、ベクトル場描画、曲面、 そしてそれらに関連するさまざまな文字列等。そしてさらにいくつかの特別な 描画型もサポートしています。

gnuplot は多くの異なる出力をサポートしています: 対話型スクリーン出力形 式 (マウスやホットキー入力も可能)、ペンプロッタや現在のプリンタへの直 接出力、または多くのファイル形式への出力 (eps, emf, fig, jpeg, LaTeX, pdf, png, postscript, ...)。gnuplot は、容易に新しい出力形式を追加する よう拡張することができます。最近追加された対話型出力形式には、 wxWidgets (複数のプラットホームで利用可能), Qt を元にしたものがありま す。svg や HTML5 canvas 出力形式を利用すれば、グラフを Web ページ内に マウス利用可能な形で埋め込んだ出力を生成することもできます。

gnuplot のコマンド言語は大文字小文字を区別します。すなわち、小文字で 書かれたコマンドや関数名は、それらを大文字で書いたものとは同じではあり ません。いずれのコマンドも、あいまいさの無い限りにおいて省略することが できます。1 行中にはセミコロン (;) で区切って複数のコマンドを書くこと ができます。文字列は単一引用符、あるいは二重引用符のどちらかで書き始め ますが、両者には微妙な違いがあります (詳細は、以下参照: syntax (24))。例:


     load "filename"
     cd 'dir'

コマンドは、複数行にまたがることができます。その場合は、最終行以外の全ての行の行末にバックスラッシュ ( \ ) を書く必要があります。バックスラ ッシュは必ず各行 *最後* の文字でなくてはなりません。その結果としてバッ クスラッシュと、それに続く改行文字が存在しなかったかのように扱われます。 つまり、改行文字がスペースの役をすることもありませんし、改行によってコ メントが終了することもありません。ですから複数行にまたがる行の先頭をコ メントアウトすると、そのコマンド全体がコメントアウトされることになりま す (以下参照: comments (9))。なお注意しますが、もし、複数行のコマンドの どこかでエラーが起きたとき、パーサはその場所を正確には指示することがで きませんし、また、正しい行に指示する必要もないでしょう。

このドキュメントにおいて、中括弧 ({}) は省略可能な引数を表すものとし、 縦棒 (| ) は、互いに排他的な引数を区切るものとします。gnuplot のキー ワードや help における項目名は、バッククオート (`) または可能な場合 には boldface (太字) で表します。角括弧 (< > ) は、それに対応するもの に置き換えられるべきものを表します。多くの場合、オプションの引数には、 それが省略されるとデフォルトの値が使用されます。しかし、これらの場合、 必ずしも角括弧が中括弧で囲まれて書かれているわけではありません。

ある項目についてのヘルプが必要なときには、help に続けてその項目名を 入力して下さい。または単に help ? でもヘルプの項目のメニューが現われ ます。

初めて gnuplot を使う方は、plotting に関する説明から読みはじめると 良いでしょう (対話型で使用中ならば help plotting と入力して下さい)。

simple.dem デモを参照してください。あるいは以下の Web ページにも他のデモと一緒にあります。

http://www.gnuplot.info/demo/

gnuplot はコマンドラインから、あるいはデスクトップ環境のアイコンから 起動することができます。コマンドラインから起動するときは、以下の書式が使えます。

     gnuplot {OPTIONS} file1 file2 ...

ここで file1, file2 等は、local コマンドで取り込むのと同等の入力ファ イル (スクリプトファイル) です。 X11 ベースのシステムでは、以下の書式が使えます。
     gnuplot {X11OPTIONS} {OPTIONS} file1 file2 ...

詳細は、X11 のドキュメント、および以下参照: x11 (92.72)

gnuplot に与えるオプションは、コマンド行のどこに置いても構いません。フ ァイルは指定した順に実行され、同様に -e オプションで任意のコマンドを与 えることもできます。例:

     gnuplot   file1.in   -e "reset"   file2.in

特別なファイル名 "-" は、標準入力から読ませるのに使います。gnuplot は最後のファイルを処理し終わると終了します。読み込ませるファイルを一つ も指定しない場合は、gnuplot は標準入力からの対話入力を取ります。詳細 は、以下参照: batch/interactive (6)。gnuplot 用のオプションについては、 以下のようにして一覧を見ることができます:

     gnuplot --help

詳細は以下参照: command line options (6)

対話型描画ウィンドウでの作業中は、'h' を打つとホットキー (hotkeys) とマウス機能 (mousing) に関するヘルプを見ることができます。 seeking-assistance のセクションは、さらなる情報やヘルプ、FAQ を探す 手掛りを与えてくれるでしょう。

竹野茂治@新潟工科大学
2014年9月25日