91.55 Qt

qt 出力形式は、Qt ライブラリを用いて別ウィンドウへの出力を生成します。

書式:

       set term qt {<n>}
                   {size <width>,<height>}
                   {{no}enhanced}
                   {font <font>}
                   {title "title"}
                   {{no}persist}
                   {{no}raise}
                   {{no}ctrl}
                   {close}
                   {widget <id>}

複数の描画ウィンドウもサポートしていて、set terminal qt < n> とすれば 番号 n の描画ウィンドウへ出力します。

デフォルトのウィンドウタイトルは、このウィンドウ番号に基づいています。 そのタイトルはキーワード "title" でも指定できます。

描画ウィンドウは、gnuplot の出力形式を別なものに変更した後でも開いた まま残ります。描画ウィンドウは、そのウィンドウが入力フォーカスを持って いる状態で文字 'q' を打つか、ウィンドウマネージャメニューで close を 選択するか、または set term qt < n> close とすることで閉じることができ ます。

描画領域のサイズはピクセル単位で与えます、デフォルトは 640x480 です。 それに加えて、ウィンドウの実際のサイズには、ツールバーやステータスバー 用のスペースも追加されます。 ウィンドウのサイズを変更すると、描画グラフもウィンドウの新しいサイズに ぴったり合うようにすぐに伸縮されます。qt 出力形式はフォント、線幅も含 めて描画全体を伸縮しますが、全体のアスペクト比は一定に保ちます。 その後 replot とタイプするか、ターミナルツールバーの replot アイコ ンをクリックするか、新たに plot コマンドを入力すると、その新しい描画 では完全にそのウィンドウに合わせられますが、フォントサイズや線幅はそれ ぞれのデフォルトにリセットされます。

現在の描画ウィンドウ (set term qt < n> で選択されたもの) は対話型で、 その挙動は、他の出力形式と共通です。詳細は、以下参照: mouse (81.40)。それには 追加のアイコンもいくつかついていますが、それらはそれ自体が説明的なもの になっているはずです。

この出力形式は、拡張文字列処理モード (enhanced text mode) をサポートし ていて、フォントや書式コマンド (上付、下付など) をラベルや他の文字列に 埋め込むことができます。拡張文字列処理モードの書式は、gnuplot の他の出 力形式と共通です。詳細は、以下参照: enhanced (12)

< font> "FontFace,FontSize" の形式で、FontFace と FontSize とをコ ンマで分離して一つの文字列として書きます。FontFace は、'Arial' のよ うな通常のフォント名です。FontFace を与えない場合は、qt 出力形式は 'Sans' を使用します。FontSize はポイント単位のフォントサイズです。 FontSize を与えない場合は、qt 出力形式は 9 ポイントを使用します。

  例 :
     set term qt font "Arial,12"
     set term qt font "Arial" # フォント名のみ変更
     set term qt font ",12" # フォントサイズのみ変更
     set term qt font "" # フォント名、、フォントサイズをリセット

Qt のレンダリング速度は、使用するレンダリングモードによって大きく変わり ます。Qt バージョン 4.7 以降では、これは環境変数 QT_GRAPHICSSYSTEM で制御できるようになっています。指定するオプションは、レンダリング速度の遲 い順に、"native", "raster", "opengl" となっています。従来の Qt の 版では、この出力形式ではデフォルトを "raster" にします。

可能な限り最も良い出力を生成するために、このレンダリングはアンチアリア ス、オーバーサンプリング、ヒンチングの 3 つの機構を持っています。 オーバーサンプリングは、アンチエイリアスと組でピクセルよりも小さいサイ ズでの精度を提供し、gnuplot が非整数座標の直線を書けるようになります。 これは、対角方向の直線 (例えば 'plot x') が左右に揺れるのを避けます。 ヒンティングは、オーバーサンプリングによって引き起こされる水平、垂直方 向の線分のぼかしを避けます。この出力形式は、これらの直線を整数座標に揃 え、それにより、1 ピクセル幅の直線は本当に 1 つ (1 つより多くも少なく もない) のピクセルで描画します。

デフォルトでは、描画が行われたときにウィンドウはデスクトップの一番上 (最前面) に表示されます。これは、キーワード "raise" で制御できます。 キーワード "persist" は、すべての描画ウインドウを明示的に閉じない間 は、gnuplot が終了しないようにします。 最後に、デフォルトでは < space> キーは gnuplot コンソールウィンドウを上 に上げ、'q' は描画ウィンドウを閉じます。キーワード "ctrl" は、それら のキー割り当てを、それぞれ < ctrl> +< space> < ctrl> +'q' に変更します。

プログラムのコンパイル時に選択した場所に、gnuplot の外部ドライバ gnuplot_qt がインストールされますが、環境変数 GNUPLOT_DRIVER_DIR を別 な場所に設定することで置き場所を変更することもできます。

竹野茂治@新潟工科大学
2014年2月25日