情報電子工学概論 1 のアンケート no.3 (07/24 2005)


目次


はじめに

3 回目の講義で課したアンケート項目は以下のものでした。

  1. 使ったことがあるプログラム言語をすべてあげよ
  2. 使ったことはないが、聞いたことがあるプログラム言語をすべてあげよ
  3. どんなソフトがあったらいいと思うか

その他、この講義に関して何かあれば自由に書いてもらいました。 回答数は 81 名でした。

「プログラム言語」という言葉に関してはあえて説明しませんでしたが、 わからない、と書いた人はいましたが、 「コンピュータ用語」「プログラム用語」などと勘違いして書いている人は ほとんどいませんでした。


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集計結果


使った/聞いたことがある プログラミング言語

複数の回答も多かったのですが、それらもすべて数え上げました。 多いもの順に上げます。

その他不明なものにまとめたのは、いずれも勘違いではないかと思われます。

例年同様 Basic, C, C++ などが多いようですが、 今年は使ったことがある言語に Java がかなり書かれています。 JavaScript も多いのですが、 もしかして 高校でのコンピュータリテラシ教育で Java がはやっているのでしょうか。 それとも単に Java と JavaScript を混同しているのでしょうか。 これらは名前は似ていますが、 WWW アプリケーション向きであるという点で共通点がある以外は、 言語仕様も生まれも概念も全く別の言語です。

Fortran や Pascal は比較的古い言語で、 あまりさわる機会はなさそうに思うのですが、 特に Fortran が 5 人も聞いたことがある、というのはやや驚きです。 昔はこういうものがあった、と言う授業でもやっているのでしょうか。 Pascal は教育用言語でしたが、 現在もオブジェクト指向 Pascal の実装 (Delphi など) が使われているようです。

HTML は WWW ページを記述するマークアップ言語で、 正確にはプログラム言語とは違うように思いますが、 ある意味では似ているところもあります。

BREW というのも、正確には言語ではなく、 携帯電話アプリケーションの実行環境で、OS や JavaVM のようなもの のようです。プログラミングは普通は C で書くそうです。

NC プログラムはファームウェア専用の言語で、 工業高校などではそのような実習もやるかもしれません。

今年は、昨年よりもバリエーションはあるように思いますが、 その他の小数回答の言語を簡単に見ますと、

のようになっています。

例年、数が多いものを少し表にまとめてみます (表内の数字は、(使ったことがある %)/(聞いたことがある %))。

2002 年 2003 年 2004 年 2005 年
BASIC 40.7%/ 11.0% 60.0%/ 13.3% 57.4%/ 3.3% 54.3%/ 17.3%
C 24.2%/ 20.9% 41.1%/ 48.9% 32.8%/ 41.0% 44.4%/ 35.8%
C++ 2.2%/ 6.6% 10.0%/ 6.7% 3.3%/ 13.1% 7.4%/ 12.3%
Java 1.1%/ 14.3% 2.2%/ 23.3% 6.6%/ 6.6% 34.6%/ 14.8%
JavaScript 1.1%/ 0.0% 2.2%/ 2.2% 4.9%/ 0.0% 11.1%/ 2.5%
アセンブラ 3.3%/ 2.2% 2.2%/ 14.4% 9.8%/ 19.7% 7.4%/ 8.6%
Fortran 0.0%/ 2.2% 1.1%/ 6.7% 0.0%/ 4.9% 0.0%/ 6.2%

はっきりと Java が多くなっている以外は、さほど目立つ傾向はないように思います。 また、今年は、過去昨年よりは無し、わからない、という回答が少なかったです。

使ったことがあるコンピュータ言語の種類を個人毎に数えてみると 以下のようになりました。

5 種類以上、というのはかなりすごいと思いますが、 一番多いのが 2 種類、というのもやや驚く数字だと思います。 現在、ほとんどの人が使用している OS は MS-Windows で、 MS-Windows はユーザがプログラミングをする必要をなくした OS ですし、 標準では C や BASIC などのプログラミング環境はついてきません。 ということは、 高校の授業等で行ったプログラミングのことを言っているのだと思いますが、 そこで 2 種類、というのは割と多いような気がします。


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あったら良いと思うソフト

色んなものが書かれていましたが、おおまかに分類してみました。

無回答も多かったですし、以前よりも面白い意見が減っているように感じますが、 それが今年の学生の雰囲気を表しているのかも知れません。 ただ、「翻訳」「簡単に」といった意見がこれまで同様多いようです。

具体性のあるものについては、 既に存在するものもかなり上がっているようです。 大まかな形を紹介しているものも 例年良く見られる意見が多いようですが、 具体的にどう実現するか、何をやってくれるものにするのか、 ということを考えてみると面白いかもしれません。

「簡単にプログラムが作れる/プログラムが短い」 というのは各種スクリプト言語などがそれに相当するようにも思いますし、 「日本語でプログラミングができるソフト」も実在します。 「目の動きで入力するソフト」「ネット回線を速くするソフト」というのは、 ソフトというよりハードの話なんではないでしょうか。

「Java が簡単にできるソフト」というのは、 「Java プログラミングが簡単に」なのか、 「Java の実行/操作が簡単に」なのか、 「Java のインストールが簡単に」なのかわかりませんでした (もしかしたら「JavaScript のプログラミングが簡単に」なのかも)。 「海外のゲームができる」というのも、 メッセージが外国語だというだけで、 実際には「できない」ことはないんじゃないでしょうか。

「ソフトには頼らない」と書かれた人もいましたが、 現在我々の身の周りにあるコンピュータ (マイコンもメインフレームも) はほぼ全てソフトウェアによって動いています。 OS だってもちろんソフトウェアです。 つまり「ソフトには頼らない」コンピュータなどなく、 ソフトウェアから逃げることはできませんし、 情報電子工学科の学生なら、 たとえハードウェア方面へ向かうとしても、 ソフトウェアから逃げることはできません。 ハードウェアあってのソフトウェアですし、 ソフトウェアあってのハードウェアなんだと思います。 「ソフトには頼らない」と考えるよりも、 むしろうまくソフトを利用していいハードウェアを作るべきで、 ソフトもハードもどちらもよくなければいいものにはならないと思います。


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講義に関して書かれていたこと

アンケートの最後に「この講義に関して自由に」書かれていたことを上げます (カッコ内は人数)。


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書かれていたことに対する回答


否定的意見


専門用語があって難しい

あまりたいしたことは言っていませんが、難しい専門用語があったら、 わからないままにしておかずに自分で調べてください。 それが大学の勉強の仕方です。


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早口なのでよくわからない

よく言われることです。すみません、気をつけるようにします。


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全く知識がない状態で入学してきたので、 知らないことを聞かれて、 それで成績に関係すると言われても納得できない

これは、私が、

アンケート用紙に全く何も書いてない人がいるが、 このアンケートも成績に評価させてもらう、 しっかり書いてください、 書かない人は自分でそういう責任を取ってください
ということへの反論だと思います。

アンケートの前回の設問や今回の設問の 1,2 番は、 知らない人は知りませんから、それは当然何も書けない人もいるでしょう。 ところが、3 番はそうではないと思います。 3 番は、前回は「現在のコンピュータに対する不満」、 今回は「あったらいいと思うソフト」ですから、 これはあまりコンピュータの知識がない人でも 自分の頭で考えて独自の意見をひねりだすことはできると思います。 そしてこの学生も、このような不満は書きましたが、 アンケートの設問は残念ながら何も書いてなかったです。

大学や社会では知識はさほど重要視されません。知らなければ知ればいいのです。 むしろ必要な知識を持とうとすること、 あるいは自分の頭で考えることができること、 自分なりの発想を出すことの方がずっと大事です。 あなたがた若い人たちが、我々教員っている点があるのですが、 それは我々が考えもしない自由な発想です。 視野を広げ、色々な見方、独自の視点でものを考える、 新たなものを作る、というのはそのようにして進むのだろうと思います。

今まで存在しなかったソフトを学生が発想し、 それが爆発的にヒットする、なんてことはよくあります。 自分の頭でものを考えるということをしてもらいたいと思っています。

今までのアンケートにはそのような気配の全く感じられない、 単に大きく「なし」とだけ書いただけのものがいくつかありましたが、 これは考える、ということを放棄しているようにしか見られません。 表面的な知識を身につけるだけなら大学に来なくてもできます。 大学は深く考え、物事の本質を見極め、 自分なりの考えを持つこと磨く場です。 そのようなことを放棄したら大学に来ている意味はありません。 そのような回答は点数を下げるのは当然だと思います。

それに、既に十分知っている人の発想なんかより、 むしろ知識のない人の発想の方がおもしろいんですがね。

なお、知らないことは悪いことではありませんが、 誇るべきことでもありません。 ある分野の知識が他の人より不足していると感じたら それは自分で補う必要があります。 それが大学の勉強の仕方です。


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質問


その他の意見


講義の初めの先輩の話がすごくためになったし、新鮮だったので、 こういう機会を増やして頂きたい

一応、彼 (内藤君) にも伝えておきました。 それなりに喜んでいましたが、 今年は病み上がりということもあって (前の週入院していたそうです)、 あまり話す内容もまとまってなかったようでしたし、 ちょっと今までに比べても今ひとつだったかなと感じました。

講義のときにも話しましたが、 実は 3 年前にこの講義を始めたときに取ったアンケートを見て 当時 1 年生だった彼が Linux はよく知っていそうだったので 声をかけて、同じ 1 年生の前で話をしてもらいました。 だから、先輩に話をしてもらう、というつもりは全然なくて、 専門家に話をしてもらう、それが学生だったらもっと興味を引いてもらえるかな、 といった感じで考えています (実は今年も 1 年生の中から候補を探してみたのですが、 残念ながらうまくいきませんでした)。

学生に話してもらう、という機会は 他の講義ではなかなか難しいのかもしれませんが、 例えば「職業実習の体験談」や「就職活動経験の話」などは 現役の学生に話してもらうといいこともあるでしょうし、 また、実験や実習の TA (ティーチングアシスタント) なんかは これに似たようなものだったりします。 だから機会がないわけでもないとは思いますが、 今後も少し考えてみたいと思います。

ちなみに、私が学生 (理学部数学科) だったころ、 数学科では 1~3 年生の講義に必ず長時間の演習が附属していて、 うちの教室の黒板の 2 倍位は長い黒板が教室の前と後ろについているような 演習室で行うのですが、 それは演習問題の解答を何人かの希望者 (学生) が 前後の黒板全部に埋まるまで書き (埋まらないと演習は始まりません)、 その後で解いた学生本人がその演習問題の解説を行う、というスタイルで みっちりと行われました。 それはある意味で、今回のように学生が教員となって説明するようなものですが、 色んな意味でいいスタイルだったと思います。 うちの大学でもこのような機会があるといいのかなと思っています。


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作成日: 07/26 2005
竹野茂治@新潟工科大学 (shige@iee.niit.ac.jp)