4 回目の講義で課したアンケート項目は以下のものでした。
最初の質問は 1 回目のアンケートでも聞いた項目ですが、 この講義を通じてコンピュータに関する見方、考え方が変化したかも知れず、 この意見も変化しているかも、と思ってあらためて聞いてみました。
色んなものが書かれていましたが、おおまかに分類してみました (カッコ内の後ろの数字は 1 回目のアンケートの同回答の割合)。
今回のテーマがプログラミングだったせいか、プログラミング、 という意見が圧倒的に多かったでしたが、 特に今回はネットワークやインターネットに関して勉強してみたい、 という意見がかなり減ってしまいました。 単にその回のテーマのことを書いているだけなんでしょうか。 これを見ると、果してこの 4 回の講義で、 コンピュータに関してどんな風に意識が変わったのか、 やや疑問が残る結果となったようです。
一人で複数回答しているものも多かったのですが、 それらもすべて数え上げました。大まかに分類して上げます。
ハードウェア、ソフトウェアの改良に関する意見は、 コンピュータのうちパソコンのことを考えているものが大半のようです。 小さく、安く、扱いやすく、というのは、 例えば機器埋め込み型のマイコンは既にそのようになっていると思うのですが、 まだ「コンピュータ=パソコン」という固定概念があるようですね。
マイコンのように機器埋め込み型で専用の処理を行うものと、 汎用のコンピュータでは自ずから違いがあると思いますが、 汎用のコンピュータは入力/出力が多種/大量であることが多いでしょうから むしろ小さくなることでデメリットも多く発生するように思いますので 必ずしも全部が小さくなるようには思いません。
音声入力といった意見も上がっていますが、 キーボードアレルギーの人などには良いインターフェースかも知れませんが、 入力するための音声が外にもれるので、必ずしも良い点ばかりではなく、 むしろある程度制限された場所、制限された用途でしか 使えないのではないかと思います。
AI は、もしある程度の形のものができれば 自然にコンピュータに導入されて行くことになると思います。 現在も翻訳ソフトやゲームソフトなどに部分的に含まれていると 言っても良いでしょう。 それが OS に組み込まれ、インターフェースを司るようになると、 パソコンはかなり変化するのではないでしょうか。
しかし、人間は簡単には進化しないので、そのようなコンピュータが現われるまでは 汎用のパソコンは、自動車の運転と同様ある程度の勉強をしないと 正しく使えるようにはならない、という形のままなのではないかと思います。 そういう点でパソコンと自動車と比較して見ると色々パソコンの問題点や 進むべき方向なども違った目で見ることができると思います。
より初心者にやさしい、より扱いやすい、という意見が最も多かったのですが、 もしパソコンが現在よりもそのようになったとすると、 果してそれがパソコンに熟練した人にも使いやすい、効率的であるかどうかは 問題だろうと思います。 例えばマウスや携帯電話の入力方式とキーボードを比較してみれば分かると思います。 マウスや携帯電話の入力方式は初心者にも使いやすい 直観的なインターフェースですが、 それで大量の文字を入力するのは時間もかかるし効率的ではありません。 むしろ、多少の訓練を受けてキーボードを使いこなせるようになった方が そういう処理には向いているでしょう (実際にこれが私が MS-Windows を使わない理由の一つにもなっています)。 分かりやすい、易しい、扱いやすい、というキーワードが 必ずしも良い面ばかりではないことを頭に入れておくと 物の見方も変わるかも知れません。
一つの OS 上で複数の OS を動かすという仕組みは現在でも広く使われていて、 再立ち上げをせずに複数の OS を使い分ける、ということが可能ですが、 大半の人はそうしなければいけない理由があってそうしているのであって、 私もそうですが、 そうしなくて良いならどちらかひとつの OS しか使わない人が多いと思います。 自分にあったものを使うのが一番だと思います。
より生活に役立つ、というのは重要な視点だと思います。 現状はパソコンは一家に一台という時代が来ているにも関わらず、 他の家電製品に比べて有効に活用されている、とはいいにくいようです。 むしろ携帯電話くらいの機能で済むことが多く、 実際に簡単なメール機能を持ったメール、 といった専用ハードウェアが売られたりもしています。 例えばデジタルカメラにしても、パソコンを通さずに直接プリンタで印刷する、 直接写真屋に持って行くなど、自分でパソコンを使わずに利用する、 という使い方が出てきています。 家電製品として要求されるのは、汎用のコンピュータひとつではなくて、 専用の小さなコンピュータがたくさん、という状況なのかも知れません。
全てのソフトが全ての OS の上で、 というのは、あの OS で動くソフトをこの OS でも使いたい、 という具体的な要求があるのでしょうか。 PC 用の Unix の雄である Linux もそういった傾向があって、 MS-Windows でできることを Linux でもできるようにする、 という進化の仕方をしているように思います。 ただ、それは Unix としてのメリットを消しているようにも思いますし、 そういう方向で MS-Windows と立ち打ちすることに関しては 疑問に感じる部分もあります。 今後、本当にどうなって行くんでしょうか。
アンケートの最後の項目の「この講義に関して自由に」の部分に 書かれていたことを上げます。 今回は特になければ書かなくていい、としたので あまり多くは書かれていませんでした。
講義の最後にも述べましたが、例年アンケートを見ていると
また、今年も「なし」「わからない」という意見や 他人の意見、講義内容をそのまま写して書いているような意見も 多かったように思います。 今まで考えてみなかったことを見方を変えて考えてみる、 人に頼らずに自分で物を考える、 ということは工学を学ぶ者として、大学生としてとても大事なことだと思います。 そういうことができるようになってもらいたいと思います。