教科書 p.97-98 に、全ての頂点が偶数次ならオイラーグラフであることの 証明が載っているが、その証明はやや難しい。 よって講義では、帰納法による構成的な証明を紹介したつもりであった (06/28 2001) が、その証明には穴があった。
よって、改めて厳密な証明を紹介する。
全ての頂点の次数が偶数次ならば橋はない。
証明
もし、頂点 と
を結ぶ辺
が橋であるとすると、
を
取り除いたグラフは連結でなくなる。そのグラフの
を含む
連結成分は、
以外の頂点の次数は偶数のままで、
の頂点のみが
奇数次数となる。よって、それは握手補題 (教科書 p89 問題 3.1) に矛盾する。
全ての頂点が偶数次である連結なグラフはオイラーグラフである。
証明
辺の数 に関する帰納法で証明する。
[I] のとき
定理の条件を満たすグラフは、この場合ループのみであり、
これはもちろんオイラーグラフ。
[II] のとき
であるようなグラフに対しては、この定理は成り立っていると
仮定する。
このグラフの一つの頂点 を考える。
の次数は偶数なので
少なくとも 2 本の辺がつながっている。その
につながる辺の
状態を次のように場合分けして考える。
次に、 から
への 2 重辺と、
への 2 重辺の
2 組が出ている場合はそれぞれから 1 辺ずつ取り除いて (iii)
のように
と
を結ぶ辺を作ればよい (連結性、次数の偶数性は
変化なし)。
もし、,
を取り除いて
,
を結ぶ辺
を
つけたときに連結であるか、
あるいは、
,
を取り除いて
,
を結ぶ辺
を
つけたときに連結であるならば、それは (iii) と
同様に考えれば帰納法の仮定により OK となる。
よって、後は ,
を取り除いて
をつけても、
,
を取り除いて
をつけても連結でなくなる場合を
考えれば良い。
この場合、まず、,
を取り除いたとき、
をつけなくても
,
を結ぶ別なパスが存在することをまず示す。
元のグラフに橋はないので、 を取り除いても連結のまま。
よって、
を取り除いてはじめて連結でなくなるので、この場合
その連結成分は 2 つであり、
は
の属さない連結成分に
含まれる。同じ理由で
も
の属さない連結成分に
含まれるので結局、
と
は同じ連結成分に入ることになる
ので、
と
を結ぶパスが存在する。
同じ理由で ,
を取り除いても、
,
を結ぶ別な
パスが存在することになる。
ということは、元のグラフから と
を取り除くと、
それは連結性は失われないことになる。後は
と
を結ぶ
辺を付け加えれば (iii) と同様にして帰納法により言えることになる。
やや場合分けが繁雑になるが、連結性のことを考え、このように せざるを得なかった。他の、これよりスマートな証明方法も多分 たくさんあるだろうと思われる。
例えば次のような証明も思いついた。こちらの方が、より具体的な一筆書きの 問題の解答に近い。帰納法の [II] から先を進める。
証明
[II] のとき
であるようなグラフに対しては、この定理は成り立っていると
仮定する。
からループが出ている場合は上と同じようにループを取れば
帰納法の仮定を使ってオイラー閉路を構成できる。
そうでない場合は から別な点
へ出る辺
がある。
は補題 1 により橋ではないので、この
を抜いても
と
を結ぶパスが存在する。そのパスと
をつなげば
から出て
に戻る一つのサイクルができる。元のグラフから
このサイクルを削除すると ... あっ、だめ。連結でなくなる。