5 最後に

方向微分係数と勾配は、$n$ 変数関数にも拡張される。 $f(x_1,\ldots,x_n)=f(\overrightarrow{x})$$n$ 次元の勾配は、
$\displaystyle \nabla f(\overrightarrow{x}) = (f_{x_1}(\overrightarrow{x}),\ldots,f_{x_n}(\overrightarrow{x}))
$
$n$ 次元ベクトルとして定義され、 $n$ 次元単位ベクトル $\overrightarrow{u}$ に対する $f$ $\overrightarrow{u}$ 方向の 方向微分係数は、
$\displaystyle \frac{\partial f}{\partial u}(\overrightarrow{a})
=\lim_{\Delta t...
...arrow{a})}{\Delta t}
=\nabla f(\overrightarrow{a})\mathop{・}\overrightarrow{u}
$
となる。 これも命題 2、命題 3 と同様の性質を持つ ことが前と同様にして示される。

勾配は $n=3$ の 3 次元空間ベクトル、3 変数スカラー関数 (スカラー場) に 対して考えることが多いが、2 次元の場合の本稿の内容も知っていると、 それなりに有益だろうと思う。

竹野茂治@新潟工科大学
2023-04-24