2 教科書の証明
指数関数、対数関数の微分の公式は以下の通り。
- 公式 1. (教科書 [1] では公式 2.9):
- 公式 2. (教科書では公式 2.10):
()
- 公式 3. (教科書では公式 2.13):
- 公式 4. (教科書にはない):
()
教科書 [1] では、これらを以下の順で示している。
- の定義 (教科書 p11 下):
(1)
- それは実数 に拡張でき、さらに
でも
同じものに収束 (教科書 (1.1)):
(2)
- (2) で としたもの (教科書 p13 上):
(3)
- (3) の対数を取ったもの (教科書公式 1.4):
(4)
- (4) で
とすると
得られるもの (教科書公式 1.5):
(5)
- (4) と微分の定義から公式 2 を、
(5) と微分の定義から公式 1 を導く
- 公式 3 は対数微分法で (教科書に証明はない)
- 公式 4 は底の変換で (教科書に証明はない)
上の 2. の (2) については教科書には詳しい説明はないが、
それは以前 [2] で説明をした。
その他、7., 8. 以外は教科書に書いてある通りなので、以下で 7., 8. の
説明をする。
なお、7., 8. の証明が教科書 [1] に書いてないのは、
多分 7. の方は、その直前に書いてある の微分の対数微分法による例で
一般の の場合もわかるだろう、ということだと思われるし、
8. の方は、公式としなくても底の変換を行えばすぐに計算できるだろう、
ということだと思われる。
まず、7. は、いわゆる「対数微分法」を使うのであるが、
それは合成関数の微分の応用なので、
ここでは公式 2 と合成関数の微分を組み合わせることで、
公式 3 が成り立つことを示す。
とし、この微分を考える。
とすると、合成関数の微分と公式 2 より、
となるが、一方で
より
と
なる。よって、
なので、
となって公式 3 が得られる。
次は 8。これは、底の変換により
と書けるので、公式 2 より
となって公式 4 が得られる。このようにして教科書では
- (5) 公式 1
- (4) 公式 2 公式 3, 4
という流れで 4 つの公式を示しているようである。
解析学の教科書の多くが、似たような流れで指数関数、対数関数の
導関数の証明を紹介しているが、
公式 3 の証明については対数微分法以外にも、
公式 1 から得る方法もあるし、公式 4 から得る方法もあり、
そういう証明を採用している教科書も少なくない。
竹野茂治@新潟工科大学
2022-11-01