10 最後に

本稿では、整数の $\tau$ に対する [2] を非整数の $\tau$ に 拡張するのに必要な $F_\ell(x)$ の評価を少し一般化して考察した。 非整数の $\tau$ に対する証明では、 本稿の内容がその前半の主要な部分であるが、 むしろその全体の流れを見やすくするため、 また式の処理をわかりやすくするために、 本筋とはややずれる $H_{\pm }$ の変形や拡張、評価の部分を 本稿として独立させた、ということになっている。

次は、本稿の結果を用いて [2] の方法の 非整数の $\tau$ への拡張にとりかかることになるが、 どうやら当初想定していたほどには [4] や [5],[6] の簡略化にはならなそうなので、 それが既に得られている結果の別証明に過ぎないことも合わせて、 それをまとめることの価値は、 残念ながらますます低くなっているような気がしている。

竹野茂治@新潟工科大学
2023-01-19